プレミアムゲインの価格を決める要素は需給バランス

オプション投資は確率の世界です。

一般的な保険商品の保険料であるプレミアムも確率にもとづいて計算されていて、保険会社はそのプレミアムを利益に変えています。
オプション投資によるプレミアムゲインも同じです。

プレミアムはインザマネーになる確率や可能性から、参加者が妥当だと思える価格に値付けされています。

その価格の決まり方を解説します。

 

プレミアムをなぜ支払うのか

参加者がプレミアム(保険料)を支払う理由。それは、事故になるリスクを低減させたいからです。

事故になって自分の資産を失ってしまうことを回避するために、コストとなるプレミアムを支払って保険を掛けます。

そのプレミアムについて自動車保険を例に出します。

自動車保険の例

例えば、1年間の保険料が1万円、全損時の車両本体価格200万円、事故が起きる確率1/500だとします。

この時に保険金をもらう可能性はどう考えたらよいのでしょうか。それには事故が起きる確率(1/500)に保険金還付金額の200万円を掛けた数字が、受け取れる保険金の予測値となります。

期待値

この受け取れるであろう予測の金額を期待値と呼びます。
小学校や中学校で習ったと思いますが、

期待値=事故が起きる確率×もらえる金額

となります。

期待値は事故が起きる確率が高くなれば額が上がり、もらえる金額も大きくなれば期待値も上がります。

自動車運転で事故が起きるかどうかはドライバー本人の力量や相手の運転技術によりますので一概に確率で評価できるものではありませんが、ここでは1/500で起こり得るものだと考えます。

このように計算すると期待値は1/500×200=0.4万円となります。つまり4000円です。

では4000円をどう解釈したらいいでしょうか。

期待値4000円の勝負

明日事故が起きたら200万円の保険金がおります。しかし事故を起こさなければ、保険料の1万円を失います。
1万円のプレミアム(保険料)を支払って、期待値4000円の勝負をしているのです。

この時の計算では、保険料1万円でカバーできる1年間を、1回とカウントします。

つまり500年運転して1回事故が起きれば、1回は200万円が支払われる、と解釈します。
(現実的ではありませんが、確率の考え方ではこのように試行回数1回あたりの支払金額となります)

その期間中、毎月1万円を払い続けます。

事故が起きるまでは損

事故が起きなければ今年は1万円、来年1万円、再来年1万円・・・もし事故が起きた時には200万円の還付があります。
本当に事故の確率が均等に1/500であると考えて、200万円の還付金を1年当たりに直したのが前述した4000円という数字です。

つまり1万円を支払って、4000円を得ようとしているのです。

1万円を支払って4000円を得るというのは、合理的ではありません。
数字はうそをつきませんので実際にこのような商品にお金を出していることになります。

ただし、計算上は事故の確率が1/500と計算しましたが、明日起きたり、来年起きたり予測できないのが事故です。

事故確率以上になるかもしれないし、無事故で廃車まで乗りこなせるかもしれない。

ここが不確定な要素であり、「リスク」として捉えられるべき項目なのです。
そのリスクを転嫁させて万が一の損失を食い止めるものが保険商品となります。

買い手はこの数字が妥当だと思って保険に加入します。
もし緻密な計算上、保険が高いと感じたら加入しなければいいだけのことです。

その保険料に対して保証が納得いくものであるから、またはほかに転嫁させる商品が無いから、保険を購入します。

売り手の心理

一方の保険の売り手は、価格をどのように考えているでしょうか。

本来なら1万円で売りたいところを、ディスカウントして8000円で売ればもっと売れるかもしれません。競合がいるのが保険業界なので、ネットで割引している保険会社も良くあります。

ではどこまで値下げできるでしょうか。

コストを計算すると

確率論で言えば、4000円まで下げると保険金の請求と保険料収入がトントンとなり採算ベースでギリギリとなるように見えます。

しかし商品設計にまつわる諸経費、営業コストや維持コスト、事務手続きや商品の管理費など、様々なコストがあります。

さらには玉突き事故や対面衝突で同じ保険に加入している人が事故を起こしたらどうでしょう。1回の事故は1/500の確率だったとしても、事故件数は2件になってしまいます。

そこで保険会社は、出来るだけ利益を確保し万が一の事故でも保険金を出せるように金額を高めに設定します。しかし競合がいるので、割高感があると競合に負けてしまいます。

したがってサービスやその他付加価値を付けて金額に見合った保険であることをアピールします。

買い手と売り手の合意

これまで買い手の心理と売り手の心理を見てきました。この売り手と買い手は利害関係者となり、相容れることはありません。

つまり両者とも自分により有利な方を願っています。

ですが、オプションのプレミアムとして考えた時には、そこに需給バランスが発生します。
競合やライバルと呼ばれる人が登場して、お互いの価格を揺さぶるのです。

実際の保険商品では買い手は売り手の値段について妥当と考えた金額でしか買うことはできませんが、オプションやその他の金融商品は思惑で価格が変わるものです。

AさんとBさん、そして保険会社の構図

Aさんは1万円で買うのが妥当だと考えていたのに、この保険をどうしても欲しいBさんは12000円でも充分保証を得られると思っている。
Bさんは12000円で買おうとすると、この保険商品は12000円に値上がりします。

一方のこの商品を販売している保険会社cの方は大喜びです。本来1万円で値付けしているはずの商品が、12000円で売れるのです。

しかしそれを見た競合業者dが、それではと同補償内容の11000円の商品を出してきました。そうすると客足はdの保険に流れてしまい、cは得られるはず利益を取り損なってしまいます。

競合dに負けないためには、やはり1万円で商品を売り続けないといけないのです。

結局は妥当な価格へ

このようにしてお互いの思惑が入り、落ち着いた価格が現在の値段として取引されてる値段になります。

論理的に損得のボーダーラインとして決められた価格はあっても、結局はプレミアムを決めるのは需給関係なのです。この需給関係を把握することで、プレミアムゲインと言うのは保証料であり、それは誰かのリスクを転嫁したもの、軽減したものであるということが分かります。

需給バランスがIVの概念

そしてこの需給によって決定された価格に意味があるものとして、じゃあ今の市場参加者はどのように今の相場を見ているのかを分析したのがインプライドボラティリティ(IV)と呼ばれる指標になります。

IVは需給バランスによって付いた価格を評価する指標です。IVが高ければそれだけ書いた人が多い証拠だし、IVが低いというのはそれほど買いたいと思う人がいないということを指します。

まとめ

リスクのないところにリターンはありません。何かしらリスクが潜んでいるものです。

そのリスクが目に見えるものかそうではないのか、そして引き受けられるだけ小さいリスクなのか他でヘッジしないと許容できないリスクなのかを検討して投資する必要があります。

プレミアムゲインといっても、リスクが無い魔法の投資ではありません。リスクを把握し、どのリスクを取るか明確にしてこそ投資家と言えます。