無リスクで32万円の利益を得るカバードコールのしくみとは

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もしあなたが16,550円で先物をロングポジションで保有している場合に、どの水準まで利益を狙いたいでしょうか?

  1. 100円程度値上がりしたら利益を確定する
    (想定利益10万円)
  2. 200円まで上昇したら利益を確定する
    (想定利益20万円)
  3. 際限なく無限大の利益を狙う

ここであなたが

「約500円も高い17,000円に到達するかも全く分からないので、2番くらいじゃないか。際限なく無限の利益を狙う3番は非現実的だ」

と感じるのなら、あなたは無リスクで利益を確定するチャンスがあります。

それがカバードコールと呼ぶ、オプションを使った利益確定方法です。

2016年9月に、先物を1枚ロングで保有していた場合、10月限のコール16750のオプションを1枚売るだけで、上昇益を狙いながらも32万円の利益を得られる取引を実現できました。

この32万円の利益を確保するのにあなたが引き受けなければいけない追加のリスクは、ありません。

この記事では2016年2016年9月の膠着相場でもカバードコールを活用することで52万円の利益をあげることができた事例を紹介します。

もしあなたが先物ロングポジションを持っていたのなら、収益の安定化が図れること間違いありませんよ。

投資方針は「上値は限定的でも利益を確定したい」

今回は普通の個人投資家であるMさんの事例を紹介します。

上昇トレンドフォローの先物ロングポジションにコール売りを追加しカバードコール戦略を組み立てたことで、2016年11月に起きた大統領選挙直前の、膠着相場でも利益を出すことができた事例です。

Mさんの相場観としては、2016年9月12日に

大統領選をにらんで、相場は動きづらい傾向だろう。ロングで問題ないと見るが、上値も限られているだろう。

という考えを持っていました。

感触としてはやや上昇目線でいきたいのだが、大統領選を見極めるまでは相場はあまり動かない可能性のほうが高いと考えています。

確かに、イベントを控えている場面では上にも下にもトレンドが出なくて、もみ合い相場になることも良くあります。

特にアメリカの大統領選であれば、誰が大統領になるかで世界経済の動向が決まるために大統領が確実に決まるまでに世界の投資家も動きを取りづらい場面でもありました。

市場の方向性としては、アメリカの株価が堅調なため日本の株価も上昇基調でした。
目線としては上昇方向ではありますが、アメリカ大統領選直前の膠着相場でもみ合ってしまうと、利益を出すことは出来ません。

そこで、動きにくい相場でも、ある程度の利益は得たいと考えて、コールオプションを1枚売るカバードコールを仕掛けてみることにしました。

カバードコールとは利食いの先取り効果がある

カバードコールとは、先物をロングして、コールオプションの売りを追加したコンビネーション取引のことであり、先物の利食いと同じ効果があります。

例えばC16750を売るカバードコールは、日経平均先物を16750円で利食い決済したことと同じ効果となります。

なぜかというと、C16750から出る損失は、日経平均先物の利益で完全にカバーできるからです。

先物ロングの損益グラフ

下図が、横軸が日経平均株価、縦軸が損益として表した損益グラフです。

先物の損益グラフは一直線の右肩上がりになっています。

コール売りの損益グラフ

一方のコール売りの損益グラフを同じように描画しました。

このように16750円よりも日経平均株価が上がると損失が増えていきます。

C16750を単体で売った場合の売り手は、日経平均が16,750円以上になった場合には(最終的な日経平均価格(=SQ値)-権利行使価格16,750)の分だけ支払い義務が発生します。

もしSQが17,000円になったとすると、このC16750は17000-16750=250円分の支払い義務があります。

先物ロングとコール売りを合成した損益グラフ

では上記の2つのグラフを合成してみましょう。

しかしながら、先物をロングしている場合にはこの支払い義務は、保有している先物ロングの利益で相殺されます。

このカバードコール戦略では、C16750の権利行使価格である16,750円までは先物ロングの利益を得ることが出来て、16,750円以上の上昇についてはコールオプションで損益を固定してしまう戦略となります。

なお、フルヘッジが出来ている状態でコールを売ることをカバードコールと呼びますので、もし先物の量よりコール売りのほうが多ければカバーできていません。

よって原則は先物の量とカバードコールのコールオプションの量は一緒になります。

カバードコールはリスクを増加させない取引

カバードコールはリスクを増加させない取引です。なぜリスクが増加しないのに利益を得られるかというと、カバードコールで上昇の利益の可能性を放棄しているからです。

すでに下落リスクは先物ロングポジションで引き受けているから、リスク自体は先物ロングのリスクを取り続けたままです。

その状態で上昇サイドの利益を放棄するから、今すぐに32万円の利益を確定することが出来るのです。

もし今から1ヵ月後に1,000円や2,000円も上昇すると思えるなら、このカバードコールを仕掛けずに先物ロングポジションだけで利益を伸ばしていったほうが良いでしょう。

しかし、これから相場が上昇してもせいぜい500円くらいの上昇しか起きないと思えたのなら、500円以上の大幅上昇は放棄してもかまないと考えることも出来ます。

このように上昇方向の利益を諦めるだけで、今すぐに32万円の利益を確保できる有利な取引が実現することになります。

カバードコールは下図のように、上昇側の無限の利益を放棄する代わりに、今すぐにプレミアムをもらうことが出来る取引なのです。

カバードコールの狙いの整理

カバードコールとして売るコールの権利行使価格は、利食いしてもいいと思えるところを売れば、利益のもらい損ないで悔しい思いをしないで済みます。

狙うには利食いをしたい価格帯が良いでしょう。

カバードコールとしてコールを売ることで、相場に動きがなくても、その受取金額は利益となる。よって膠着相場には最適な戦い方と言えます。

コールオプション売りの受取金額の範囲内であれば、もし下落しても満期に受取金が全部利益になるので多少の下落には耐えられます。
今回の事例では32.5万円の受取があるので、日経平均が325円下落しても耐えられることができます。

今回16,550円でエントリーしているので、損益分岐点が16,225円となり、16,225円以下にならなければ損益分岐点を割らないことを意味します。

予想通り上昇してくれたら、利食いターゲットまでの上昇の利益も確保できます。
16,550円から16,750円までの200円分は上昇益を狙いにいける戦略なので、膠着相場ではありつつも若干相場が上昇すると思えたら組みやすい戦略になります。

コールオプションの権利行使価格を超えてくると、支払いとなりますが、その分はすべて日経225miniがカバーするので上昇は問題ないことが一番の安心材料となります。

「オプションを売ると危険だ」と言われることがしばしばありますが、このカバードコールは日経平均先物をロングして利食い機能としてコールを売っていますので、危険性はありません。

もし先物をロングだけしていた場合、損益分岐点は現在の日経平均株価と同じ16,550円となります。少しでも株価が低くなれば損失、高くなれば利益になりますので日経平均株価の値動きがダイレクトに結果に反映されます。

一方のコールオプションは16,750円に到達しなければ32.5万円の利益を得られる戦い方になり、損益分岐点が下がります。

なので今回の相場予想である膠着相場であろう予想に対して、このカバードコールが有効に機能するのです。

実際の相場で利食い・受取のバランスを図った例

ではMさんがどのように取引したのかを見ていきましょう。

現時点での10月限の日経225miniは16,550円でした。

基本的に上昇目線として先物(日経225mini)で上昇益を狙いたいので、利食いラインを16,750円と考えました。

投下資金200万円程度とし、利益50万円を狙い、損失は20万円とザックリと考えています。

そこで10月限コール16,750の価格を確認すると325円となっていました。

そこで、カバードコールを利食いラインに設定して、現在の水準の200円程度上の権利行使価格のコール16750を売りました。これにより325,000円を受け取ることが出来ます。

これは預かり金なので、実際にはSQ時点で差金決済されますので、まだ利益として確定したわけではありません。

でも、利食いをしているのと同じ効果があり先に代金を受け取れていて、相場が上昇した際にもリスクが増えることはありません。

次に、ロスカット逆指値(ストップ)を、現在の水準の550円下の@16000円に置きました(最大損失は約200,000円)。

16,000円に下落した際の最大損失は20万円で済む

もし現在の日経平均株価の16,550円から、550円も安い16,000円で終わった時の最終損益の計算を計算してみましょう。

  1. 日経225miniの損失=(16,000-16,550)円×100倍×10枚=-55万円
  2. コールオプションの売りの受取金額=+32.5万円

この(1)(2)を合計した金額となるので、最大損失は約20万円で済むことになります。

もし先物ロングポジションだけ保有していた場合に日経平均価格が16,000円まで下落してしまうと、(16,000-16,550)=約55万円の損失になってしまうところが、コールオプションを売った代金の32.5万円があるために最大損失を低減することができました。

Mさんの投資の最終結論

9月12日引けにかけて次のようなオペレーションをしました。

10月限日経225miniを16,550円で10枚買います。

日経225mini10枚は日経平均先物1枚と全く同じ損益が出ますので、今回は満期が毎月設定されている日経225miniを選択しました。

そして利食いラインの10月限C16750を1枚325円で売ります。この時点で+32.5万円の受取があります。

最後に、万が一のことを考えて先物のロスカット逆指値を16,000円に設定しました。

このような取引を行うことで、当初計画していた投下資金200万円程度とし、利益50万円を狙い、損失は20万円程度という方針を実現することが出来ました。

もし16,750円で終わることが出来たら52.5万円の利益

10月上旬に、16,750円あたりで着地すれば、損益予想は2つの銘柄ごとに計算できます。

(1)10月限日経225miniの損益

損益は(SQ値-エントリ価格)円×100倍×枚数で計算できますので、SQ値=16,750円、エントリー時の価格16,550円を代入することで

=(16,750-16,550)円×100倍×10枚= 200,000円

となります。

(2)10月限C16750売りポジション損益

損益=支払額+売り受取額( ※SQ値-権利行使価格<0ならば支払額は0)によって計算できますので、miniと同様に数値を代入すると

=(SQ値-権利行使価格)円×1000倍 + 売り受取額

=(16750-16750)円×1000倍+325,000円= 325,000円

損益予想は(1)と(2)の合計となりますので、SQ=16,750とすると

(1)10月限日経225mini=+200,000円
(2)10月限C16750売り=+325,000円

よって見込み益は200,000円+325,000円=525,000円と計算できます。

相場が膠着して全く動かなくてもコール売りによる利益は確保できる

Mさんの目論見としては、52.5万円の利益を想定しています。

もし仮に、日経平均が全く動かずに16,550円のまま終わっても、325円×1000倍の32.5万円の利益をオプションから得られていて、返却する義務が消滅しています。

先物にはないオプションのメリットととして、時間が経過すれば利益になることもあるのです。

もし万が一思惑に反して下落しても、オプションから得られた32.5万円があるので、325円分の下落には耐えられることが分かります。

16,550円の325円安い価格である16,225円が損益分岐点となるため、万が一下落したとしても300円程度の下落ならまだ利益を確保できる取引が実現します。

結果は51.6万円の利益を確保できて取引終了

実際の相場は、レンジ内の動きに終始し、予想通りの着地(SQ値=16,741円)となりました。

Mさんのトレードの結果を見てみましょう。

(1)10月限日経225mini=(16,741-16,550)円×100倍×10枚=+191,000円
(2)10月限C16750売り=+325,000円

SQ値の16,741は、コール売りの権利行使価格16,750よりも低くなりました。

よって、コール売りの支払義務は0円となって支払い義務が消滅しました。

よって実利益=191,000円+325,000円=516,000円となりました。

まとめと下落方向の保険を掛ける方法

コールオプションの売りにより得た325,000円のおかげで、現時点よりも500円も下にロスカットラインを下げて安心感のある取引を実現できました。

また、カバードコールにおいては、コールオプションを売って得た32.5万円は利益として計算できて、相場が全く動かなくてもコールオプション売りから利益を上げられます。

よって損益分岐点は325円安い16,225円となり、日経225miniが325円下落までなら利益を確保できる見込みであることも安心感のある取引を実現する際のポイントです。

コールオプション売りポジションは、日経平均が権利行使価格以上になると損失が発生しますが、先物(日経225mini)がその損失をすべてカバーするので、コールの権利行使価格以上の場合には損益は変化しない点が最も重要なカバードコールの考え方となります。

コールの権利行使価格以上で損益が変わらないという点は、コールの権利行使価格で利食いしたのと同じ効果となりますので、今回の取引内容は言い換えれば「上昇サイドを放棄することで利益を確定する方法」となります。

あなたは無限の利益をずっと狙い続ける度胸と相場観をお持ちでしょうか?

もちろん相場が上昇する確信がある場合には無限の利益を狙うことも時には必要です。

ですが今回の記事のように無限の利益を狙う先物ロングポジションはリスクを取りすぎていて、上昇方向の利益は放棄しても一向に投資判断に影響しないと感じたら、今回のカバードコール戦略があなたの投資効率を向上させることになるでしょう。

この戦略を採用する際に注意点もあります。注意点を動画で解説していますので下記の動画を確認してください。

掲載:日本取引所グループ公式youtubeチャネル

上記サイトにて他の動画も閲覧できます。

 

ところで、今回の記事では無限の利益を放棄する方法を身に付けることが出来ましたが、この取引が実現できるなら無限の損失を防ぎたくなりませんか?

それにはプロテクティブプットが有効です。

プロテクティブプットは米大統領選ドローダウンでも20万稼げた先物ロング&オプション戦略で解説しています。

プロテクティブプットとカバードコールを組み合わせることで、保険を掛けながらその保険代金をカバードコールで賄うことが出来ますよね。

ぜひ参考にしてみてください。

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