株の保険をゼロコストで実現するオプション取引法

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あなたは、株の保険を掛けるのに、無コスト、つまり持ち出しが発生せずに保険が掛けられたらいいと思いませんか?

オプションは株の保険になります。

ファーストリテイリング株に保険を掛けるたった一つの方法として、株の保険にプットオプションを買うことで下落方向の損失はプットオプションが損失をカバーしてくれることを解説しました。

でも、この戦略には課題があります。それは株が値上がりしなくても、常に保険料を支払った分はコストとなることです。

保険を掛けるのだから保険料を支払うのは当然のことですが、毎回毎回保険料を払い続けていたら、本体の株の利益よりも保険料の方が高くついてしまうかもしれません。

なかなか保有株が値上がりせずにずっと保険料を支払い続けたあとにようやく株が値上がりしても、つみあがった保険料がコストとなりせっかくの株の上昇益をいつのまにか食いつぶしてしまうこともありえます。

そこで、もしこの保険として毎回支払うコストをゼロにする、つまり無コストで保険を掛けられれば、安心して保険を掛け続けられれると思いませんか?

そんな夢のような都合の良い保険の掛け方があるのです。

それは、現物株の保険に買うプットオプションにもう1銘柄追加し、コールオプションを売ることで実現します。

この組み合わせポジションを作ることさえできれば、無コストで保険を掛けられます。

この記事ではどうやったらオプションを使って無コストで保険を掛けられるのか、そのロジックと方法を余すことなく解説します。

プット買いによる保険は必ずコストとなる

プットを買って保険を掛ける投資の問題点は、保険料をコストとして必ず支払う点です。

右肩上がりの株なら、保険料を支払っていてもそれ以上の利益が出るので全く問題ありません。
大きな安心感を得るために必要な保険料として喜んで支払っても良いでしょう。

3dman_eu / Pixabay

しかし株が思うように値上がりしないときにも、保険を掛けたければ常にプットを買い続ける必要があります。

そして肝心の保険のプットオプションですが、大暴落まで行けば保険が機能して大きな利益を見込めますが、小規模の下落であったりもみ合い相場で株価が動かなかった場合には保険が効果を発揮せずに満期で消滅してしまうこともあります。

オプションには満期がありますので、保険効果が発揮できなかった場合はプットオプションに支払った保険料は戻ってきません。

このように保険料を必ず支払わなければいけないリスクを負うから、万が一の大暴落の時に保険のプットオプションが本体の株の下落分をカバーしてくれる保険の効果を生んでくれるのです。

保険料を安くするために権利行使価格を下げるのは危険

このように考えると、出来るだけコストをおさえて効果的に保険を掛けるにはどうしたらいいか考えたくなりますよね。

出来れば保険料は出来るだけ少なく出来れば、積み上がる保険料コストも小さくなり本体の株の値上がり益で賄うことが出来るかもしれません。

そこでまず真っ先に投資家が考えるのは、保険料として支払うオプションの金額を小さくすることです。

つまり満期にどのくらいまで下落するかを予想する基準ラインを低くすることで、支払う保険料を減らす作戦です。

この画像を見てわかるように、基準ラインである権利行使価格を低くすればそれだけ保険料が少なくなる事がわかります。

ダブルボトムの2番底を狙い9日で111万円を得たプット買い戦略のなかでも基準ラインを安くすれば保険料が減るということを解説しています。

しかし保険料を安くするということは、それだけ保険効果が薄くなることを意味します。
これは生命保険や医療保険、自動車保険とも一緒で、保証の厚い保険は保険料が高くなります。

もし安い保険料のプットオプションを購入していた場合に大暴落が来た際には、本体の株の下落分を満額補填してくれるわけではない可能性が高まります。

現在の株価に対して、プットオプションの基準ラインを引き下げていたら、その距離の分だけ保険効果が全く働かないためです。

この距離の分だけは部分的に損失を引き受けた上で、大暴落部分だけをカバーしてくれる保険を購入した選択をしているということになります。

権利行使価格を引き上げると保険料は高いが保険効果が効き、権利行使価格を下げると保険料は安いが保険効果が薄くなるというリスクリターンのバランスが生まれているのがオプションです。

よって基準ラインを引き下げて保険料を安くするというのは、実は支払う保険料は安いものの下落が起きた場合の損失リスクを引き受けているということになります。

もちろんあなたがリスクテイクしたい場合は問題ありませんが、もしそうではないなら権利行使価格を引き下げるということはリスクを高めていることにつながることを覚えておいたほうが良いでしょう。

では他に保険料を安くするためにどうしたらよいのでしょうか。その答えが、無リスクで32万円の利益を得るカバードコールのしくみとはで解説したカバードコールになります。

保険料を賄うためにカバードコールが放棄するもの

カバードコールは、株を保有している場合に、上昇した場合の利益を先にもらってしまう戦略です。

具体的には前述の記事にて解説しているとおり、コールオプションを売ることで、株を保有していて利食いするのと同じ効果をもたらしてくれます。

ただし株を指値で利食いするのと違うのは、利食いターゲット価格(指値価格)に到達していないのに関わらず、先に利食いしたことにして利益を得られるという点です。

この仕組みは、単純なコールオプションの売りとは異なります。

何も株を保有していない状態でのコール売りの場合は、保険であるコールオプションを売って得られたお金は利益ではありません。
売ったことにより受け取ったお金は預かり金に過ぎません。

満期を通過した段階で保険が消滅していたら利益が確定しますが、保険が効果を持った際にはその保険適用分との差額を支払わなければいけません。

だからオプションを売った時点ではまだ損益は確定していないのが特徴です。

ところが、カバードコールの場合はコールオプションを売った瞬間にコールオプションの保険料分の利益が確定します。しかも利益額まで固定されるのです。

利益を放棄するからオプションを売った瞬間に利益が確定する

この固定された利益というのは何を指しているのでしょうか。

実はカバードコールは上昇した際の利益の可能性を放棄しています。

狙った金額以上の値上がりは諦めるから、その分の値上がりによる収益期待を現時点の利益として先にもらえるのです。
図で解説するとこの部分の利益になります。

この利益を先に受け取ってしまえるのがカバードコールの効果です。

オプション売りは危険とよく言われるのですが、それは現物資産を持っていない裸の状態でヘッジされていないコールオプションを売った時の話です。

今回の事例のように現物を保有しているカバードコールなら、ただ利益を先取りしているだけであり、現物株の下落以外に増えるリスクはありません。

このようにカバードコールを行うことで利益の先取りが出来る事がわかりました。

利益を先取りした分でプットを買う

この先取りした利益を何に使うのかというと、冒頭でお話しした保険のプットオプション買いの保険料に当てることができるのです。

現物株の保有の保険としてプットオプションを買い、その保険料を賄うために、現物株の将来得られるであろう利益をカバードコールで先取りできるということです。

株を持っている場合にプットを買うことで保険になるのはこれまで解説したとおりですが、その保険の原資として、コールを売るカバードコールをすることで保険料を捻出するのです。

そしてコールから受け取った保険料を使って、プットを買い、保険を掛けます。
そうすれば、あなたは全く保険料を支払わずに、保険を掛ける事が出来るのです。

geralt / Pixabay

この時に追加で発生するリスクはありません。

現物株を保有している際の現物株保有リスクはオプションを使わずともリスクとして発生していますが、カバードコールをすることによって発生するリスクはありません。

ただの利食いの先取りでしかないので、将来の値上がり益の放棄という機会損失だけです。

その先取りした利食いの金額を使って保険のプットを購入しますので、保険を掛ける分にはリスクは発生しません。
むしろプットオプションで下値を限定的にしているのでリスクは下がっていると考えられるでしょう。

この一連の流れは、2通りの考え方があります。

  1. 現物株を保有していてカバードコールで利益を先取りしてからその範囲内でプットオプションを買う
  2. 現物株を保有していてまず保険としてプットオプションを買い、その金額を賄うためにカバードコールで資金を捻出

いずれの考え方も成り立ちます。

このようにオプションの保険料を別のオプションの保険料で賄うことが出来れば、保険をコスト無しで掛けられる事がおわかりでしょうか。

利食いと損切りを完璧にできないとどうなるか

この戦い方は現物株のほかに、コールオプションとプットオプションの2銘柄が必要となります。

2銘柄追加したことで、出来ることは「利食い」と「損切り」を明確に決めているだけなので、このような面倒なことをせずとも、株式投資の発注方法でも対応できます。

例えば利食いの「指値注文」を入れておき、逆方向に行ってしまった時のロスカットとして「逆指値売り注文」をしておけば同等の効果は見込めます。

こちらの方が発注方法で対応できるため、コストは掛からずにしかも手間も少ないと感じられるかもしれません。

それでもオプションにしないと生じるデメリットを考えると、オプションを使うメリットを感じられるようになります。

利食いと損切りを指値で行うデメリットとその解決策

利食いのほうは確かに指値注文をしておけば自動的に利食いをしてくれるから、指値注文でも良いかもしれません。

問題はロスカットのほうです。

2018年2月6日に起きた日経平均が1,000円を超す暴落の時には、朝の寄り付き時には-700円くらいギャップダウンしてスタートしていたため、ロスカット注文を超えて寄り付いた可能性があります。

このような時間外に変動した時には逆指値注文では対処できません。

また、トランプ大統領戦の日経平均株価の値動きを解説した米大統領選ドローダウンでも20万稼げた先物ロング&オプション戦略のように、一時的に下落したもののすぐ回復してしまう相場の場合には、ロスカットラインに到達したら発注されてしまいますので戻ってきた時の値上がり益でカバーする事が出来ません。

つまり待つ事が出来ないのです。

もしかするとロスカットラインに引っかかって決済したら、その価格でまた指値をすればいいじゃないかと思われるかもしれませんが、実際にこのような相場環境では大幅下落して戻っていく最中に指値で注文しても、もみ合い相場になればロスカットライン前後で価格が変動することになります。

その後次のロスカットはどうしたらいいのか、もしロスカットしたら再度エントリーするのはどの価格になるのかが明確になりません。

同値で買い戻すというのは言葉ではカンタンですが、実際にそのような境遇で発注したことがある私が感じたのは、言うは易し行うは難しという行為そのものでした。

vainodesositis / Pixabay

このようにロスカットラインを設定しておくのはいいですが、最悪時の値動きを考えた時にあらゆる場面に対応できるシナリオを持っておかないと柔軟に相場状況に対応することは不可能となります。

それを解消するのが225miniより8.4倍も資金効率が良いオプション銘柄の選び方で解説したオプションを用いた戦い方であり、オプションを一度セットしたら満期まで待っていても損失限定だから安心できるのです。

そして保険を掛けて長期で待つためにプットオプションを買う必要があり、そのコストを賄うためにどこから資金調達をしてくればいいかを考えた際に「上昇した際の大きな利益を放棄して保険料に当てる」ためにコールオプションを売るのです。

つまりコールオプションは単純にプットオプションの買いコストを減らすだけです。
値上がり益を放棄してプットオプションの買いコストを減らすための役割があるのがコールオプション売りであるといえます。

そのように考えると、現物株、コールオプション、プットオプションの役割がそれぞれあるというのがお分かりいただけるのではないでしょうか。

どれかひとつ掛けても成り立たない三角関係が存在していますので、合計3銘柄を取引するのは大変に思うかもしれませんが、このポジションを完成されてしまえば、完全損失限定で値上がり益も見込めるポジションをオプションの満期まで安心してみていられることになります。

まとめと具体的な取引事例

カバードコールは株の発注方式の「利食い」と同じ効果で、プット買いは現物株の保険として「逆指値売り注文」による損切りと似たような効果となりますが、決定的な違いがあります。

その違いとは、コールオプション売りは利益の先取りであり、プットオプション買いは下落しても必ず損失限定になる点です。

そしてこの2つのオプションを組むことでコストを掛けずに完璧な保険を掛ける事が出来ます。

このように現物株を買ってカバードコールで利益を限定にして受け取った金額でプットオプションを買うことで、保険料を抑えれば、毎回発生する保険料コストが気にならなくなります。
だから長期に保険を掛け続けて株の値上がり益を狙えることにつながります。

では、具体的にどの基準ラインのオプションを買えばいいのでしょうか。

保険として有効に機能しつつ出来るだけ安い基準ラインはどのくらいなのか、そしていつの満期になるオプションを選定すれば良いのか。

またどういう相場の時にこのオプション戦略を仕掛ければ良いのか。
このあたりを深く考察していくことで、さらに最適なオプション銘柄の選定ができるようになります。

もちろんオプションは今回の記事のように株の買いポジションのヘッジだけではなく、市場が下落していく場面でも活用することができます。

下落方向で利益を出せる戦略として現物株をショートした際に、にコールを買うのか売るのか、プットを売るのか買うのか。

そして最も肝心な、どの銘柄を選定したら今回解説したような保険料が掛からない戦略を組み立てる事が出来るのか。

実は下落方向で利益を狙ったほうがゼロコストで保険料を支払わずに同じポジションを組める可能性が高いのですが、その理由はなぜなのか。

そして実際の相場でポジションを組んでみたら結果はどうなっていたのか、今回の記事で得た知識の活用事例を詳細に動画で解説しています。

こちらもご覧いただくと、よりオプション取引のイメージが掴めるようになるでしょう。

掲載:日本取引所グループ公式youtubeチャネル

上記サイトにて他の動画も閲覧できます。

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今回のオプション取引事例の記事はいかがでしたでしょうか。


オプションの活用法はこれだけではありません。利益になる事例だけではなく、損失になる事例も知ることでオプションを体系的に理解することができます。


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