「コール売りは利益確定」「プット買いは保険」

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オプションには「コール」と「プット」という2つの性質があり、それぞれ権利行使価格が付いて大量の銘柄が登場します。

暗記するとなかなか覚えづらいコールとプットについては、その成り立ちからひも解いてみると理解が早くなります。

この記事ではコールとプットの成り立ちから、どんな機能を持っているのかを解説します。

機能が分かればどんなシーンでコールとプットを使うのか、表面的な知識ではなく実務として使える理解が深まります。

 

プットオプションとは

プットオプションの成り立ち

プットオプションの成り立ちは、17世紀までさかのぼります。
現代でも、古代でも、損害保険の必要性は変わらないんですね。

バビロニア時代、交易が盛んになるにつれて、物資の輸送において輸送を担う商人たちによる物資のネコババという問題が多発しました。
依頼主はその輸送を担う商人たちの財産を預かることで、このネコババに備えたといわれています。

そして古代ギリシャ時代以降、海上交易が盛んになってくると、保険制度の萌芽がみられます(冒険貸借制度)。
そしていよいよ大航海時代には海上交易の海難事故リスクに備える海上保険制度が始まりました。

17世紀イギリスのロイズコーヒーショップで保険のシステムが構築されたというのがその起源とされます。
そして現代においてはあらゆる保険商品が生まれることになっているわけです。

およそリスクのあるものであれば、そのリスクを抱える人がリスクテイクしたくないと思うのは当然です。
よっていくらかのコストを支払って誰かにリスクテイクしてもらうというシステムが必然的に生まれてくるということなのですね。

株式もそうです。ある株を100円で買ったとしましょう。
上がると思って買うわけですが、下がるかもしれないものをその危険を承知で手にすることになります。

だからこそ、上がった場合に利益がもたらされるわけであって、下がるかもしれない危険を負担せずして上がった際の利益だけを得ることはできません。

ただ、ある程度の下落(ここでは例えば70円まで)の危険は承知してはいるものの、70円以下になるのは想定外です。
そうなったらそうなったで手をうとうというのは、それはそれで立派な投資判断となります。

そんなとき、例えば70円以下になったら、70円以下の分の損失を穴埋めできるというような保険商品があるとすれば、これは一考の価値はありそうですね。

かくして金融商品の買い方の下落リスクに備える保険商品が生まれました。

それがプットです。

 

プットの保険としての役割

満期において70円以下だったら、たとえそのときどんな低い値段であっても約束の70円で買ってもらう(被保険者たるプットの購入者にしてみれば、70円で売る)ことのできる権利を創設したわけです。

そうすれば、例えば50円まで値下がりしていても、70円で売りつけられるわけですから、その差額20円の損は関係ないということになるわけですね。

では、こんな保険、売り手はどんな思惑で引き受けるのでしょうか。
もちろん、損しないだろうという思惑があることはいうまでもありません。

確率的に計算して、損をしないような手数料を設定してくるはずです。

また、もともとこの株を70円になったら買っても良いなと思っている人がいたとしたら、この買い手にとっては、普通に70円の板に指値するより、プットの70円を売ったほうが合理的だという理屈がこの保険を実現させることになります。

すなわち、70円の指値で約定してもただ当該株式を70円で買えただけということですが、プット70円を売った場合、70円以下になり権利行使される場合には70円で買わなければならないとしても、もともと株が70円にまで下がってきたらどうせ70円で買う予定だったわけですし、さらに、オプションを売って手にした、買い手の払う保険料=プレミアム分はもらえるのですから(買いコストが下がり)お得だと考えることができるのです。

こうして売り手と買い手、それぞれの思惑で取引する市場ができあがるわけです。

 

プットオプションが使われている事例

さて、このプットオプションですが、EB債(転換社債)に姿を変えて私たちの目の前に現れたりします。

例えばX氏は、A社の株を持っていますが、その下落に備えて、例えば株式の現在価格が12,000円だとして、これが10,000円を割り込んだ場合に備えて、個別株式オプションのプットを買いたいと考えました。
しかし個別オプション市場に流動性が全くないため、どうしたものかと思案しました。

そこでこう考えました。誰かにプットを引き受けてもらおう!と。

単に保険の引き受け手になってほしいといったところでだれも引き受けてくれません。
そこでまずY投資家から10,000円を借りることにし、通常の金利の相場水準が2%であるときに、レートを5%という高い利息に設定します。
ただし満期日において、株価が10,000円を割っていた場合、5%の金利はちゃんと支払うが借りた10,000円はA社株式という形で返済するという特約を結ぶことにしたのです。
Yさんは高い金利が得られ、最悪でも株式という形でちゃんと返ってくるのだからまあいいかということでX氏の申し出を受けました。

これはまさにプット10000円を売買しています。(オプションではP10000と表現します)

X氏はこのP10000を300円で買ったわけです。

YさんはP10000を売ったんですね。
通常より高い3%分(300円)の金利は、実は、X氏がA社株式を10,000円で売ることのできる権利(=プットオプション)のプレミアムだったということなんです。
つまりオプションのプレミアム料を3%上乗せすることで5%という高利回りを実現できたわけなのです。

さて満期の株価が10,000円以上であった場合、X氏はこのプットオプションを放棄し、借りた10,000円を返済、通常の金利+300円を支払うルールなので、Yさんは、「元本+通常金利+300円」を受取ることになります。
株価が10,000円以下であった場合(例えば9000円)は、X氏は、オプションを行使してその株式を10,000円でY氏に売却します(=借りたお金は返しません)。

X氏は10,000円-9000円=1000円の利益を取得し、Yさんは時価9,000円の株式を取得します。
つまり、Yさんは、「株式+通常金利+300円」を受取ることになります。

このようにEB債は、債券にオプションが組み込まれているわけなのですが、個人投資家にはそのリスクが見えません。

投資家自身が本人も認識せずプットオプションの売り手になっていることが、あまり詳細に解説されないことが転換社債の難しさでもあります。

 

コールオプションとは

コールオプションの誕生

古代ギリシャのお話になります。

哲学者であり天文学者でもあったターレスは、ギリシャ名産のオリーブが豊作の年のオリーブ搾油機の賃貸料が高くなることに注目しました。
豊作になるかどうかがまだわからない時期に、天文学的知識を駆使して、豊作であることを予想し、あらかじめオリーブ搾油機を安く借りられる契約を搾油機の貸主と結んでおいたのです。

搾油機の貸主はこう考えたはずです。

例年100円だが、豊作の年は200円、不作の年は、全く借り手がいない場合もあるところ、ターレスは100円で借りることのできる権利を作ってそれを50円で売ってくれ(買う)という。
現時点で50円手に入るわけだし、この契約を結んでも例年どおりならば100円の賃料は入ってくるのだし、不作の可能性も十分ありえるのだから、これは申し出を受けても損はないな・・・と。

さて、この年、ターレスが予想したとおり、オリーブは豊作で、搾油機の賃貸料は上昇、村では平均して約250円の値段がつきました。

ターレスは搾油機の貸主から100円でこれを借り、250円で転貸することで、賃料100円及び権利代金50円を差し引いた100円の利益を手にしたということなのです(値段については例えの数字なのでフィクションです)。

かくして、値段が将来高くなったとしても、それよりも有利な低い値段で貸してもらえるように手をうっておくという技術が生まれました。

これがコールなんです。
ある金融商品の値上がりに備えて、予め決めておいた低い値段でそれを買える権利とでもいいましょうか。

 

コールオプションが使われている事例

このコール、実はこんな風に使われます。

あなたが、とあるG社株を10,000円で購入したとします。
10,500円になったら売ろうと思います。

頭のいいあなたは、10,500円になったその時点で売却するのではなく、後に10,500円以上になっていても10,500円で買える権利というものを作って、今の時点で、これをいくらかででも(例えば100円程度で)売れば、その分収益がプラスされるのではないかと考えました。

たしかに、10,500円以上の値上がりの利益はとれませんが、どうせ10,500に到達した時点で売るつもりだったのでよいだろう。
また、普通に決済するより、例えばこの場合は100円分収益が多くなるわけですので、むしろ御の字ではないか。

この話を聞いたAさんは、今のG社の業績なら12,000円に行ってもおかしくないはずなので、わずか100円のコストで、たとえどんなに値上がりしていても10,500円でG社株が買える権利なるものが買えるというのなら、これは面白い!ということで、この権利を100円で買うことにしました。

あなたは、満期においてG社株が10,500円以上であっても、Aさんに10,500円で売却しないといけませんが、もともと10,500円になったら決済する(売却する)つもりだったわけで、特にそれ以上の値上がり益を狙っていたわけでもなかったのです。

ですので初期の目的は達成できるのだし、当該権利を売って100円も手にしていますので、利益は500円+100円となり、20%も多くなったわけです。

このように、原資産のロングポジションを持つ人が、そのポジションを解消する(利食いする)手段としてコール売りを用いることができるのです。

 

まとめ

ある金融商品が上昇していくことを主眼にして作られているとき(株式が典型例)、それを原資産とするコールは利益確定の手段、プットは保険としてその役割が与えられることになります。

このようにオプションの成り立ちを紐解くことで、コールとプットの機能のみならず、どのような目的で使うのかその利用法まで理解できます。

 

 

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