恐怖指数VIXを売るベストタイミング判別方法とは

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投稿者名:金森 雅人

VIXで利益を上げるには、数値が高くなったVIXをショートすることで、簡単に利益をあげることができます。

なぜなら、高くなったVIXは必ず元に戻る性質があるからです。

でも、VIXが高くなって売ろうと思っても、今以上にさらにVIXが高くなるかどうか、判断することが難しいですよね?

VIXが30ポイントになって高値だと思って売ったら、さらに40ポイント、50ポイント・・・と高くなるかもしれません。VIXが高騰する前触れを掴んでしまうと、含み損が膨らんでしまいます。

つまり、今のVIX指数が高くなっているのと合わせて、これからさらに高くなりそうなのかどうかを知ることが出来れば、今VIXをショートしていいタイミングかどうかが判断できると思いませんか?

このタイミングさえ把握できれば、より安全にVIXをショートすることができるのです。そのようなアメリカの恐怖指数VIXを売るタイミングを簡単に捉えられる指標があります。

それがVIX/VXV指標となります。

https://jp.tradingview.com/chart/VIX/VXV/

この指標は日本にいながらにして把握できてしまうので、アメリカ市場への参加者が、恐怖を感じているかどうかが手に取るようにわかるようになり、さらにVIXが今後高くなるのかどうか、そして今が売りどきなのか、タイミングを簡単に把握できるようになります。

つまりVIX指数が全体的に高くなって不安感が漂っているのか、それとも短期的にVIX指数が高くなっていて急速に値を戻そうとしているのかを知ることが出来るのです。

この指標を利用して、1.0を超えた11月1日にVIXを18.5ドルでショートして、0.9になった11月10日に14.7ドルで買戻しをすれば、わずか10日で3.8ドルの利益を得ることができました。

18.5ドルの投資で3.8ドルの利益を得るので、リターン率は実に20%の投資が実現することになります。

この記事ではVIX/VXV指数について解説しますので、あなたもこの指数を活用して、VIXを思い通りにコントロールできるようになりましょう!

【もくじ】

1.VIX指数とVXV指数

2.VIX/VXVが1を超えたら売るタイミング

3.実際に1.0を超えたタイミングとは

4.VIXが高くてもVIX/VXV指数が低いときは取引しない

5.指数が1.0でVIXショートした事例

6.VIX/VXVを監視すれば日中張り付く必要が無い

7.まとめ

 

1.VIX指数とVXV指数

VIX指数とは、アメリカのS&P500採用銘柄の1ヵ月後の変動可能性を予測した数値となります。別名「恐怖指数」と言われて、アメリカの代表的な指数として知られています。

このVIX指数は1ヵ月後の変動可能性を示した指標ですが、実は3ヵ月後の変動可能性を示した指標として「VXV」という指標があることはあまり知られていません。

このVXVは3ヵ月後の変動可能性を示していますので、VIXよりも数値が大きいことが一般的です。
ぜなら、1ヵ月後の変動幅よりも、3ヵ月後の変動幅のほうが大きいと考えられるからです。

現在の価格推移を見てみましょう。

それは将来を予測するのが困難であることを前提に考えると、単純に1ヶ月先の未来をある程度予測できても、さらに3ヵ月後の未来になると予測しにくい(3ヶ月の間に何かが起きるかもしれない)という心理が働いている証拠なのです。

よってVXVはVIXよりも割高になっていることが一般的です。

上記のチャートの比較でも、VIX指数は11.93、VXVは14.52となっているのがわかります。

VIX指数が高くなるのには2パターンあります。

1.将来の不安が高まってVIX指数が上昇する
2.短期的な混乱によりVIX指数が上昇する

この2パターンのうち、短期的な混乱による上昇時がVIXを売る狙い目となりますので、このタイミングさえ見つけることが出来れば安心してVIX取引をすることが出来ます。

そしてVIX/VXV指数はこの短期的にVIXが上昇するタイミングをつかむのに最適な指標なのです。

2.VIX/VXVが1を超えたら売るタイミング

このVIXをVXVで割った数値がVIX/VXV指数です。この指数が1を超えるときは、1ヶ月の変動可能性が、3ヶ月先の変動可能性よりも高くなったときになります。つまり通常の、「将来が予測できない程度が大きい3ヵ月後」が大きくなる代わりに、「わずか1ヵ月後の変動のほうが読みにくい状況」にあるといえます。これはつまりVIX指数が割高になっているサインだといえます。

VIXが高くてもVIX/VXVが高いわけではない

VIX指数には問題点があります。

それは直近が高いだけなのか、それとも3ヶ月後も含めて割高になっているのか、現在のVIX指数のみでは判断できないのです。

VIXの数値自体は相場の変動によって左右されますが、全体的に相場に先行き不透明感が漂っているときよりも、短期的に波乱が起きて収束していくのが分かっているときのほうが、VIXをショートして利益を上げるチャンスがあります。

それは将来収束するのが分かっているときのほうが、ショートして安心感があるのは明らかです。

実際にチャートで説明します。これを見て分かるように、VIX指数は20ポイントと割高になりましたが、同じくVXVも高くなっていましたので、VIX/VXV指数はさほど1を超えることはありませんでした。

一方、2016年11月にはVIX指数は20ポイントになっていたタイミングもありますので、このVIX指数のみで判断することは正確に現象を捉えてられていないことが分かります。そこでVIX/VXV指数を活用するのです。

VIX/VXVなら変動が分かる

このVIX/VXV指数は、1ヶ月の短期VIXが急騰した際には、3ヶ月中期のVXVが盛り上がりませんので、VIX/VXVが高くなります。

一方、全体的に相場が不安定なときは、VIXが上昇してVXVも上昇するため、、VIX/VXVはそれほど数値が上がりません。

このように、直近の1ヶ月だけが上昇するタイミングは、不安要素が取り除かれるとすぐに収束する傾向があります。
そのタイミングを狙って取引をすることで、比較的容易にVIXの下落を利益に変えることができるようになるのです。

3.実際に1.0を超えたタイミングとは

では直近でVIX/VXVが高くなったタイミングを見てみましょう。2016年11月7日は大統領選挙があった日ですが、その数日前の2016年11月1日にこの指標が高まり1.0を超えてきました。

この原因は、大統領選ではありません。

実は大統領選挙直前に発表された、ヒラリー候補のメール問題だと考えられます。

アメリカ大統領選挙自体は、どちらが勝っても不安要素が取り除かれるために、ボラティリティはそれほど挙がらないことが予想されていました。

しかしながら、ヒラリー候補のメールをFBIが調査するという報道が選挙直前に出たということは、何か裏があるのではないか、選挙に与える影響は大きいのではないだろうか、と思わせるには充分なニュースでした。

よってVIX指数は上昇しました。しかしながら、3ヶ月後の変動可能性を示すVXV指数は、それほど反応をしていません。

それもそのはず、アメリカ大統領選挙自体はメール問題の次の週に決着が付くから、短期的な不安定要素でしかないのです。

もし大統領選挙の結果によって経済情勢が不安定に陥るのであれば、どちらかの候補に決まった後にはボラティリティが上昇することになるのですが、アメリカの大統領を決める選挙は国民の過半数の意見を代表するので、候補者が決まったからといって波乱だとか想定外と言う不安要素はないことが分かります。

実際にVIX指数は大統領選の結果が判明した後には急落しました。

つまりアメリカ国民のおおよそ過半数は賛成している結果だったので、それほど波乱として捉えられていなかったのです。
よってこのときがVIXをショートするタイミングだったことが分かります。これは大統領選挙が決まる前です。

日本ではトランプ大統領に決まった瞬間が一番驚いたことでしょうが、VIX指数的には決まった瞬間が一番安心した瞬間でもあります。

4.VIXが高くてもVIX/VXV指数が低いときは取引しない

このとき、3ヵ月後のVXVが同じく高くなっていると、VIX/VXV指標は上昇しません。

例えばVIXが20ポイントになっても、VXVが22ポイントになっている場合です。

このときにはVIX/VXVは高くなりませんので、まだ売り時といえないでしょう。

なぜなら、3ヵ月後の変動可能性を示すVXVが高くなっているということは、更なる波乱が起きる可能性を長期的に示唆しているからです。

よって、VIXを売るタイミングとしては1ヶ月先のボラティリティが高くなっていながら、かつ3ヶ月先のボラティリティが高くなっていないタイミングになるわけです。それがVIX/VXVの数字の意味となります。

このタイミングを狙うことで、短期的な不安要素を感じて上昇したVIXをショートして利益を狙うことが出来ます。

VIX/VXV指標を使うと、短期ボラティリティと中期ボラティリティの数字の差を確認することが出来ます。

短期VIXが中期VXVよりも高いときは、より直近の変動が大きいことを意味しますので、VIX価格の高騰がすぐ収まることを示唆しています。

一方VIX指数が高いにもかかわらずVIX/VXV指数が低いままだとすると、中期的にも不透明感が漂っていて相場全体に不安要素が膨らんでいると解釈できますので、短期間のうちにVIX指数が落ち着かない可能性を示しています。

このようにVIX/VXV指数を利用することでVIXの値動きを予測して投資に生かすことが出来れば、VIX指数で利益を上げることができるようになります。

5.指数が1.0でVIXショートした事例

ではこのときの損益の計算をしてみましょう。

1.0を超えたときにエントリーします。手仕舞いは1を下回ったときであり、今回はすぐタイミングが訪れました。

18.5ドルでショートして、14.7ドルで買戻しすることで、3.8ドルの利益をあげることができました。

実際に売り時と判断した際のチャートを再度掲載します。

このVIXの価格推移のチャートと、VIX/VXVチャートを比較することで、VIX/VXVが1.0を超えてきたタイミングを確認することができます。

実際の取引の際には、VIX指数そのものを取引は出来ませんので、先物を使うと良いでしょう。

もし割高になったら、売り増しするチャンス

また、VIX取引の際には、もしショートして含み損が生じた場合には売り増しするチャンスといえます。なぜならVIX指数は上昇したら必ず元に戻る性質があるからです。

その性質を利用すれば、最初のポジションは含み損になったとしてもさらに有利な価格でエントリーすることが出来るので、迷わずにショートすることでさらに利益を簡単に狙えるチャンスといえます。

そのようにショートポジションを売り増したりVIX指数が下落するまで待てる根拠は、VIXよりVXVが高いことが通常だということにあります。

なぜVIXよりもVXVが高いのか?それは将来の不確実性を反映しているから、高くなるのです。

ボラティリティとは、期待値。1ヶ月以内に波乱が起きる可能性よりも、3ヶ月以内に波乱が起きる可能性のほうが高い。
だからVXVのほうが高くなる。

これが崩れるときは、VIXが高くなっているとき。つまり1ヶ月以内の波乱のほうが3ヵ月後よりも高くなっていると市場が評価している。

ですが、何も無いときには、VIX指数は常に低下していくため、いつが売り時なのか判断しにくいのです。

そこで、もうひとつの指標としてVXVという中期のボラティリティ指標を組み合わせると、売り時が見えてきます。

6.VIX/VXVを監視すれば日中張り付く必要が無い

あなたがアメリカ市場で投資をする際に、日本に住んでいるとアメリカ市場の様子が見れないのが日本人の最大のネックとなります。

アメリカとの時差は14時間ありますので、アメリカ市場がオープンしている時間帯は、日本の真夜中になります。

朝6時ころ起きるとアメリカ市場がちょうどクローズするタイミングになっていますので、アメリカ市場の変動を確認できません。

夜寝て起きたらアメリカ経済が混乱していて株価が暴落していた、と言うこともおきるかもしれません。

しかもただ暴落したというだけだったら、株価をチェックすればいいだけですが、株価の暴落が市場参加者の心理に与える影響まで知っておくことは、非常に安心感があります。

現在起こったアメリカ市場の下落が一時的なものなのか、今後もしばらく続くような下落なのかを知ることが出来れば、安心してVIX取引をできるようになります。
つまり現在のS&P500の株価だけではなく、市場参加者の暴落に対する評価が知りたくなるのです。

そこで、アメリカ経済が波乱になったときに、日本にいながらにしてアメリカ市場に波乱が起きているのかそうでないのかを把握できる指標がVIX/VXV指標となります。

この指標を覚えておけば、アメリカ市場が変動したときに、想定されている変動か、それとも市場がびっくりして波乱が起きるそうなのかを日本にいながらにして確認することが出来ます。

実際にこの数値が高くなったタイミングを調べてみると、トランプ大統領が誕生する大統領選挙の直前に、市場が混乱する予兆が生まれていましたことが分かります。

つまりトランプ大統領が生まれるかどうかではなく、その直前に起きたヒラリー候補のメール問題によって、波乱の目が発生していたことがわかります。

実は大統領選挙自体が波乱だったのではなく、ヒラリー候補のメール問題によってVIX指数が上昇し、この指標も上昇していたのです。

このように日本にいると新聞でしか知ることが出来ない情報でも、VIX/VXV指数をチェックすることで市場がどのように反応しているかを確認することが出来ますので、単なるアメリカ市場の下落に過ぎないのか、それとも何か波乱要素を含んだ事実が見つかって相場が荒れているのかを確認することが出来ます。

7.まとめ

VIX/VXV指標を使うと、短期ボラティリティと中期ボラティリティの数字の差を確認することが出来ます。

短期VIXが中期VXVよりも高いときは、より直近の変動が大きいことを意味しますので、VIX価格の高騰がすぐ収まることを示唆しています。

一方VIX指数が高いにもかかわらずVIX/VXV指数が低いままだとすると、中期的にも不透明感が漂っていて相場全体に不安要素が膨らんでいると解釈できますので、短期間のうちにVIX指数が落ち着かない可能性を示しています。

このようにVIX/VXV指数を利用することでVIXの値動きを予測して投資に生かすことが出来れば、VIX指数で利益を上げることができるようになります。

VXXについては、VXXとVXZのペアトレードで2367ドルの利益を得た方法も参考にしてください。

 

 

 

 

※当ブログは筆者の個人的な見解を示すものにすぎません。掲載しているデータの収集とその分析についても、筆者の個人的な視点に基づく分析であり、その有効性を保証するものではありません。解説においては、筆者の独自の視点で学習目的のために事例を簡略化している場合があるため、資料の中で紹介される事例は実際の相場とは異なる場合があります。取引事例についても、完全に再現しているものではなく、かつ、その有効性を担保するものではありません。また、本資料に含まれる記述や情報については十分精査しておりますが、その内容に関して筆者は一切責任を負いません。

※当ブログは過去の市場分析と戦略案を検討するものでありますが、取り上げている投資戦略についてはシミュレーション上のものであり、確実にそのような結果が出ることを示すものではありません。また、相場状況によっては損失が出ていた可能性も十分にあり得ます。当該シミュレーション結果が解説の中で説明した戦略の優位性や利益を保証するものではありません。よって、その内容を将来に当てはめて利益が出ることを保証するものではありません。投資手法の有効性などにつきましては、読者の皆様において十分に内容をご精査いただき、商品の特性、取引の仕組み、リスクの存在、手数料等を十分にご理解いただいたうえで、ご自身の投資判断と責任でお取引いただくようお願いします。

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