ロングコンドルを低コストで組めるweeklyオプションの威力

投稿者名:金森 雅人

あなたは、もしロングコンドルを低コストで組める手法があれば、イベントドリブンの投資を効率よく回せると思いませんか?

その願いを叶える手段がweeklyオプションです。

weeklyオプションでロングコンドルを作れば、低コストでロングストラドルのような損益の出し方を実現できます。

2017年9月9日に北朝鮮リスクが高まっている状況で、weeklyオプションによるロングコンドルを使ったことで、相場が上昇しても下落しても利益を上げられるポジションを実現し、3.8万円の利益を出すことができました。

相場が上昇した際に利益になる戦略として下記の2銘柄によるデビットスプレッドを組みます。

  • 9月限3w C19625を21円で1枚買い
  • 9月限3w C19875を5円で1枚売り

さらに相場が下落した際に利益になる戦略として下記の2銘柄によるデビットスプレッドも組みます。

  • 9月限3w P18750を50円で1枚買い
  • 9月限3w P18500を5円で1枚売り

合計4ポジションを保有することでロングコンドルを実現し相場の上下に関わらずイベント通過による相場変動に備える事が出来る事例を動画で解説しています。

この記事ではすでにリリースされている動画でも触れているロングコンドル戦略を解説しますので、記事を読み終わればロングコンドルで短期決戦できる手法を身に付けられるようになるでしょう。

コストを安く抑えてロングコンドルを組むにはweeklyオプション

9月9日は土曜日で、前日の9月8日がオプションのSQ日でした。

この時点でコストを抑えてロングストラドルを組むには、weeklyオプションを使うことになります。

通常のオプション(マンスリーオプション)を使用する場合は、オプションの満期は第2金曜日なので、翌月10月13日満期である10月限のオプションしか存在していません。

しかしその10月限オプションは、満期まで約1ヶ月ありますので、時間的価値が多く残っている分、オプション料が高い傾向にあります。

このマンスリーオプションでもヘッジを掛けて週末をやり過ごすことは可能です。

ですが、オプションの買いのリスクはオプション料全てを失うことであり、340円ものオプション料を支払ってポジションを取るというのはやりにくいものです。

しかもロングストラドルにする場合にはコールとプットを両方買いますので、340円+340円=680円の支払いコストとなります。

オプションは1000倍単位となるので68万円をコストとして一度支払わなければいけないという計算となります。

もちろんきちんとオプションを学べば1ヶ月の残存日数が残っているオプションがいきなり0円になることはほとんど起こりえないということは分かりますが、それでも68万円を支払うというのは心理的にやりにくいものがあります。

支払った価格が多いということは、それだけ失う可能性もあるということなので、68万円全額をリスクにさらしているように感じるでしょう。

それより、同じ保険の効果を得られるのなら、初期投資は安いほうが良いですよね。

一般的には保険料というのは失うものであり、保険の効果が同じものであれば少しでも保険料が安いもののほうがお買い得であることは間違いありません。

万が一想定したよりもオプション料の減価が進んで損失が膨らんでしまうとヘッジの意味がありませんので、出来るだけ多少コストが安い戦略に切り替えることを検討するかもしれません。

例えば権利行使価格を遠くに離したロングストラングルなどが候補として上がります。

ロングストラングルは保険の効果はロングストラドルほどの威力は無いものの、オプション料が安いことから掛け捨て保険として割り切って投下する際にもやりやすくなるでしょう。

9月9日は何か北朝鮮が動くかもしれないので週末にイベントが発生する可能性は大きいと考えられます。

しかし全く動かずに週末を越えると、時間が経過した分でオプションから損失が生まれるので、出来るだけ減価しにくいものでヘッジしたいものです。

そのように考えると、日経平均株価に一番近い権利行使価格のオプションであるアットザマネーが、一番時間が経過すると目減りしやすいので、このオプションを2枚買っているロングストラドルはヘッジコストと割り切れる額以上に低下してしまうかもしれません。

ロングストラングルの問題点はヘッジ効果の低減

そこで、ロングストラドルを同じ効果をもたらしつつ、コストを抑えたヘッジ手段を考えたいですよね。

そこでロングストラングルを検討するというのもひとつの案になります。

しかしロングストラングルの場合は、ヘッジする場合にはオプション料が安く済みますが、その分保険効果が低下しますので、同じ効果で出来るだけ安くヘッジすることにはならず、それなりのコストでそれなりの保険効果が得られるという戦略に切り替えているだけとなります。

このロングストラングルとロングストラドルについてはロングストラドルで57万円稼いだ、新しいイベント投資手法で解説しているように、ロングストラドルのほうが利益になりやすい傾向があります。

よって、あえてロングストラングルを採用するということは利益になりにくいポジションを安く仕入れていることになり、リスクリターンのバランス上ではロングストラドルとは性質が異なるポジションとなります。

そこで、支払いオプション料を抑える手段として活用できるのがweeklyオプションになります。

weeklyオプションを使えば、保険効果を損ねる事が無く、かつ支払いを安く抑えることが出来るのです。

weeklyのメリットは満期まで1週間のオプションが必ず存在する

weeklyオプションは、毎週第2金曜日が満期となる通常のオプション(マンスリーオプション)を補完する形で、第1金曜日満期のオプション、第3金曜日満期のオプション、第4金曜日満期のオプション、というように毎週満期日であるSQ日が到来するようにオプション銘柄が増えているのが特徴です。

従来の第2金曜日をマンスリーオプションと呼び、それ以外をweeklyオプションと呼んでいます。

満期まで必ず1週間を切ったものという考えではないので、月初に存在しているオプションは、第1金曜満期のweeklyも、第2金曜満期のマンスリーも、第3金曜満期のweeklyも、第4金曜日満期のweeklyも、いずれも取引できます。

翌月の第1金曜満期のweeklyも取引できますので、従来より3倍から4倍以上は取引できる銘柄を増やしたのがこのweeklyオプション制度となります。

9月9日にマンスリーオプションを取引すると、満期は10月13日なので、約1ヶ月あります。

ところが、9月15日満期のweeklyオプションを取引すれば、満期まで1週間しかありませんので安いオプション料でポジションを持つ事ができます。

アットザマネーを安く買えるweeklyオプションの魅力は満期が細かく設定されている点です。

常に1週間満期のオプションが存在しているので、ヘッジを必要な時だけ短期で持てるようになります。

だからweeklyオプションを活用するメリットがあるのです。

デビットスプレッドでトレンドに乗り遅れても39万円稼いだ事例のように売りポジションによって買いポジションのコストを回収しながらも、デルタヘッジで市場暴落時に112万円の利益を出せる理由とはで解説したようなロングストラドルの戦略を実現できる、ロングコンドル戦略が有効なのです。

weeklyロングコンドル組成のポイントはデルタニュートラル

2017年9月9日は、北朝鮮によるミサイル発射等何か起きる可能性が取沙汰されていました。

ここで、もし本当に何かが起きた場合には大きく下落するだろうと考えます。

9月に入って500円近く下げてはいるが、すべてを織り込んでいるとは思えないからです。

しかし、オプションを買うヘッジは、オプションの時間価値の減少などにより、何も無ければ買ったオプション料が減ることによりお金を失ってしまう危険性があります。

オプション料の減価と、相場の大きな変動のどちらに掛けるかという戦い方になるのですが、今回は北朝鮮リスクが明確なので、大きく動く方に賭けてみたいと考えました。

何かが起これば下げ、何もなければ上げ。ということで、方向性のリスクを獲るのではなく大きく動くだろうという戦い方を実現したわけです。

そこでWeeklyオプションを活用すれば、プレミアムは安いので小さい資金から始められるメリットを最大限に生かせます。

<上昇用>

  • 9月限3w C19625(@21)買い1枚
  • 9月限3w C19875(@5)売り1枚

<下落用>

  • 9月限3w P18750(@50)買い1枚
  • 9月限3w P18500(@5)売り1枚

このときポジションのデルタの合計が±0であることを確認できると良いでしょう。

±0であれば、相場の方向性を予想しない、デルタニュートラルの戦略となるからです。

この時の最大損失は、最後まで保有し続けたとして、21円-5円+50円-5円=32円。オプションは1000倍なので、3.2万円程度で済みます。

このように、週末何が起きるかわからない時に、コストを抑えて短期決戦のオプション取引を出来る手法としてロングコンドルを採用することで、デビットスプレッドのようにコストを回収しながらも、ロングストラドルのように相場の上下を予想しなくてよいポジションを組み立てられることがわかります。

このポジションを組成した翌週の月曜日にどのような姿になるかを示した損益グラフです。

緑の線が組成時のグラフ、黄色の線が予想されたグラフとなります。

この姿が、火曜日にはだんだんくぼんでいくことが分かります。

縦軸の損益が0を割り込むのが分かります。これは保有していて相場に変動が無いと損失が膨らんでいくということを示しています。

実際の相場で満期まで保有すれば+13.6万円の利益

実際の相場ではミサイルは発射されずに日経平均株価が上昇していきました。

実際のポジションの推移を見てみましょう。

週明け月曜日はミサイル発射はされなかったため、日経平均株価が前日比+500円となりました。

その時の実績の線が赤いグラフです。

翌日火曜日は、日経平均株価は+60円と若干変動したのみでした。

損益自体は-3000円と損失が解消されています。

ではweeklyオプション満期まで保有したらどうなったのかを見てみましょう。

最終的には青い線のSQ時の損益グラフに従いますので、そのまま保有を続けると+13.6万円の利益が出ていたことが分かります。

Weeklyオプションによるロングコンドルのポイント

上昇用にコールのデビットスプレッド、下落用にプットデビットスプレッドを両建て的に入れていますので、それぞれの最大損失よりも最大利益の方が大きいのでどちらかが最大利益になることを期待するポジションということになります。

この際にポジションの損益グラフを検討することで、ポジションのリスクを視覚的に分析することができるでしょう。

組成時はデルタ=±0でも、相場が上がれば上昇に強く、相場が下落すれば下落に強いポジションとなりますので保有している場面での大幅上昇、大幅下落は利益になる事が分かります。

Weeklyオプションのプレミアムは安いので小さい資金から始められるので組みやすいでしょう。

もちろん満期まで持たずに自分の裁量で反対売買により手仕舞うこともできます。

Weeklyオプションによるロングコンドルの注意点

weeklyオプションは流動性低く、マンスリーオプションに比べて取引しにくいです。

銘柄によっては約定しにくいので、発注の際には流動性も考慮して注文しましょう。

また、反対売買も出来ますがオプションがインザマネーとなった場合の流動性の減少には注意が必要です。これはweeklyオプション特有の注意点ではなく、マンスリーオプションも同様です。

証券会社によってはweeklyオプションを取り扱っていない場合もあります。大手ネット証券で取り扱っている証券会社は、2017年12月時点では、楽天証券、SBI証券になります。

もしweeklyオプションを取引したい場合は、取り扱いのある証券会社を選択しましょう。

もし相場が動かなかった場合はセータ分の損失が出ます。

ロングストラドルはオプションによる保険料としてセータを支払っていますので、1日あたりセータ×1000円のロスが出ることを覚えておきましょう。

逆に、相場が動けばセータの負け以上に利益が出ます。少しでも動けばセータ分のコストを回収できる可能性があるので、イベントがある週末などにこの戦略を組む事が有効です。

まとめ

weeklyオプションを活用することで、上がるか下がるかを当てることで利益を得る戦い方ではない、オプションならではの「方向性に関係なく短期的に大幅上昇or大幅下落となれば利益になる戦い方」を実現するロングストラドルを安価で組成することができました。

weeklyオプションは1週間満期に限定されているわけではありませんので、常に毎週金曜日をSQとするオプションのヘッジが出来ます。

これにより多彩な戦略を組む事ができるようになりましたので、オプションの戦略の幅を感じる事が出来るでしょう。

もし今後何か地政学的なイベントが予想されるときには、何かあるかもしれないという相場観を実現する手段としてオプションによる戦い方を身に付けておきましょう。

 

 

 

 

※当ブログは筆者の個人的な見解を示すものにすぎません。掲載しているデータの収集とその分析についても、筆者の個人的な視点に基づく分析であり、その有効性を保証するものではありません。解説においては、筆者の独自の視点で学習目的のために事例を簡略化している場合があるため、資料の中で紹介される事例は実際の相場とは異なる場合があります。取引事例についても、完全に再現しているものではなく、かつ、その有効性を担保するものではありません。また、本資料に含まれる記述や情報については十分精査しておりますが、その内容に関して筆者は一切責任を負いません。

※当ブログは過去の市場分析と戦略案を検討するものでありますが、取り上げている投資戦略についてはシミュレーション上のものであり、確実にそのような結果が出ることを示すものではありません。また、相場状況によっては損失が出ていた可能性も十分にあり得ます。当該シミュレーション結果が解説の中で説明した戦略の優位性や利益を保証するものではありません。よって、その内容を将来に当てはめて利益が出ることを保証するものではありません。投資手法の有効性などにつきましては、読者の皆様において十分に内容をご精査いただき、商品の特性、取引の仕組み、リスクの存在、手数料等を十分にご理解いただいたうえで、ご自身の投資判断と責任でお取引いただくようお願いします。

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