「プット売り」は危険!?誤解の原因はたった1つ

リスクのイメージ

あなたは「プット売りは危険」だと思い込んで、プット売りを避けていませんか?
日経225オプションの取引経験がある人は「プット売りは危険だ」という認識を持たれている場合が多いです。
それは誤解です。
実は日経225オプションの場合は圧倒的に自己資金が足りないのが原因です。
そのせいで追証にかかりやすいのです。

今回は銀オプションと日経225オプションのプット売りについて、自己資金額に着目して比較をしてみたいと思います。

銀オプション

銀オプションはサクソバンク証券㈱が提供しており、銀CFD価格の8%の証拠金を保有していればプット売りを行うことが出来ます。
銀の価格が14ドルの場合は、14ドルの8%、1.12ドルあれば取引が出来ます。
1ドル120円換算で約134円。
サクソバンク証券の場合は最小売買単位が100トロイオンス当たりなので、実際は134円×100オンス=1万3千円程度あれば取引が出来ます。

しかし本当に1万3千円だけ証拠金として用意して取引を行うと、相場変動による含み損が証拠金を超えた場合に強制ロスカットとなってしまいます。
目安としては14ドルの半分の7ドル、日本円で100トロイオンス当たり8万4千円程度あれば相場変動によってロスカットが発生しにくい状態で取引できます。

なお、証拠金を銀CFDの全額分、つまりフルキャッシュ用意して取引する場合は、14ドル×100オンス=16万8千円程度用意すれば、強制ロスカットは起きません。

フルキャッシュを用意するということは資金効率は落ちますが、レバレッジを掛けた証拠金取引ではなくなるため、もし自己資金が無くなるというのは銀価格が0になるときであり、銀という現物資産が0になることはほとんどないことを考えるとまず起こり得ないだろうということが考えられます。

しかしキャッシュを全額用意するのはあまりにも資金効率の面で保守的過ぎるので、強制ロスカットにならない最低保有代金を試算して、それだけ保有すれば利回りは向上します。
いざとなったらフルキャッシュで持てるように、他で運用しておいて有事の際に資金を集めて対処するという方法もとることが出来ます。

このバランスが投資判断であると言えます。

日経225オプション

銀オプションの事例と同様に日経225オプションでの一般的な投資家の行動を比較として挙げます。
現在の日経平均株価が15000円だとして、オプションは先物と同じ、原資産に対して1000倍が売買単位になります。
銀で言うところの単位が100オンス毎であるのに対して、日経225オプションは1000倍です。

15000円の1000倍は、1千5百万です。
つまりオプション1枚売るときにフルキャッシュ用意しようとすると、1千5百万円の自己資金を用意しておくと、仮に日経平均が大暴落して5000円を割り込む状況になったとしても、追証にはなりません。
現実的ではありませんが日経平均がわずか500円程度にまでなったとしても、自己資金は500円×1000倍の50万円は残っていますので資金不足にはなりません。

これより、実は日経225オプションを売るのには、相当の自己資金量が必要なのです。

ですが、個人投資家はフルキャッシュの概念ではなく、証拠金取引としてSPAN証拠金計算により求めた維持証拠金に着目して、証拠金が足りるかどうかを判定しています。

銀オプションと日経225オプションの比較

銀と日経225を比較した時に、次の2点が異なります。
・原資産の価格:銀は15ドル、日経平均は15000円(約150ドル)
・売買最小単位:銀オプションは100オンス、225オプションは1000倍

この両者を最小売買単位で同列に評価できないのは明らかです。

日経225オプションは銀オプションに比べて100倍近くの取引をしていることになります。
もし銀オプションを日経225オプションと同様のボリュームサイズで取引する場合には、少なくとも1万トロイオンスの取引をしているイメージとなります。

銀オプションを100回繰り返し取引することで、ようやく日経225オプションの1枚に匹敵するわけです。
もし練習として小さく始めようと思った場合には、銀オプションの方がずっと小さく始められることはこの比較から容易に想像がつきます。

例えて言うなら日経225オプションはF1のレーシングカーでクラッシュすると人命にかかわる一方で、銀オプションはトミカのようなものです。
(もっともサイズだけで比較するとトミカは1/300程度になりますので、例えとしたらラジコンカーの方が適切かもしれません)

実際は日経225オプションは自己資金全額用意して取引していることは稀です。
日本取引所もSPAN証拠金計算により最低証拠金を用意していれば取引を認めているので、オプション取引経験者であればあるほど日経225オプションであろうが銀オプションであろうが、同列に比較してしまいがちです。
ですが実際はサイズが大きく異なるので、それを加味して検討する必要があります。

サイズが小さければプット売りが安全なのか

日経225オプションの1/100で銀オプションが取引できるということが分かったとしても、ではプット売りが危険ではないという根拠にはなりえません。

なぜ銀プット売りが危険ではないかというと、原資産が銀という資源だからです。
資源はよっぽど供給が過多にならない限り、無価値にはなりません。

2016年初めには現状は原油が供給過多となっており暴落していますが、それでも1バレル20ドルあたりにいるために、0にはなっていません。

一方の日経225オプションは、底が見えません。
株価指数であるので、0にはならない妥当と考えられますが、過去には6000円台も記録しています。
15000円の株価が6000円になるということは、半額以下になっているということです。

この時は円高やデフレなど市況の状況も重なってはいますが、今後6000円以下になる可能性も否定は出来ず、一度下げた株価が戻ってくるのには相当の時間がかかります。

一方の銀オプションの場合は、同じく底値で言うと過去に1ドル~2ドルという時代はありましたが、2004年に個人にETFが解放されてから価格レンジが10ドル以上になりました。
ここから下げることは絶対にないと断言できませんが、それでも現在の14ドルでも安めであると言えます。
また、銀は過去に買い占めが起きて価格が急騰したことがあるので、それが再度起きる可能性もあります。
日経平均の場合は買い占めによる上昇は期待できず、経済の好況や政府誘導で徐々に上昇していくしかないのに比べたら容易に価格を上げることが出来ると考えられています。

あとは銀が仮に半分の7ドル程度まで下落した時には、貴金属としての価値は変わらないのに価格が安くなりすぎているために、自分自身が喜んで買い増しして相場上昇に備えられるということです。

これは下値が見えずに、企業に支えられ日本の景気が著しく悪化した場合に回復の見込みがない日経平均とは大きく異なる銀の特徴となります。

プット売りが危険なのではない

日経225オプションと銀オプションを比べた時に、同じ最小売買単位で比較すると、今回の検証のように100倍異なる資金量となるために、見た目の数値のみで比較するのではなく、きちんとリスクとリターンを比較し検証する必要があります。

プット売りが危険というのは、自己資金を全額用意していない状況で、さらに底値が見えないオプションを売ろうと思うから、プット売りが危険となるのです。
プットを売って割り当てられた時に1千5百万用意していれば何も問題はないのです。
そんなに資金を用意できるかというのが一番の課題であり、日経225オプションを取引するのに日本取引所が認めている証拠金所要額だけに着目するから、比較的少額で取引できているだけのことです。

サクソバンクの場合で当てはめて単位を揃えると、1万トロイオンスを売買するのに必要な証拠金所要額は1千6百万円です。
実は日経225オプションの自己資金量とさほど変わりません。

サクソバンクは銀価格の8%の証拠金が必要となる一方で日経225オプションはその都度SPAN証拠金は異なりますが日経平均が15000円の時にSPAN証拠金が80万円だとすれば5%程度の証拠金で済みますので、日経225オプションの方が最小取引量が大きいうえにレバレッジが効いているということが言えます。

まとめ

ここでは銀のメリットを強調しましたが、日経225オプションが劣後しているというわけではありません。

日経225オプションをやりつつも、分散として銀オプションをすることで、分散投資が実現すると考えられます。
それに日経225オプションからオプション取引を始めた方にとっては、やはり日経225オプションが主戦場となることは間違いありません。

ですが投資家が正しく知識を身に付けて両者を比較した時に、銀オプションのメリット、日経225オプションのメリットを実感できるようになります。

上昇した時に不利になるコール売りよりも、下落した時に不利になるプット売りだけをフォーカスしているのは、実は日経225オプションだからこそ言えることなのです。
あらゆるオプションのプット売りが危険だというわけではありません。
特に銀オプションについては、プット売りの方がコール売りより安全性が高いと考えられます。