金利が0.5%上がると、30年米国債価格は8.41下落する


あなたはアメリカが利上げした場合に、国債の価格がどの程度値下がりするか計算で求められることを知っていますか?

米国債に投資する場合には米国債の利回りが重要になり、米国金利が上昇すると米国債の金利が上昇することから債券の価格が下がります。

その価格変動を計算で求める式があります。

この計算式を理解していれば、いつ米国債投資を始めたらいいのか、そしてすでに米国債を保有している場合には値下がり幅がどの程度になるか把握できるようになります。

アメリカが利上げするとなぜ米国債の価格が下がるのかが理解できれば、将来が予測できるようになり不安要素が少なくなりますので、安心して米国債投資に臨むことが出来ますよ。
この記事を読んで、異なる残存期間や金利が設定されている国債について、どちらが有利か判断できるようになりましょう。

国債の価格変動を計算する公式

下記の式で計算できます。

$$金利変動後の国債価格=\frac{(100+購入時利率×残存年数)}{(100+現在の利率×残存年数)}×100$$

金利が0.5%上昇し、1年経過した後の国債価格

国債を保有して1年経過する間に0.5%の利上げがあったときの国債価格を算出してみましょう。

式に今回の条件を当てはめると、購入時の利率は2%、残存期間(分母、分子とも)は29年、現在の金利は2.5%を入れて計算します。

$$金利変動後の国債価格=\frac{(100+2×29)}{(100+2.5×29)}×100=\frac{158}{172.5}×100=91.59$$

このように、金利がわずか0.5%上昇するだけで、100の国債が91.59にまで低下します。
8.41も価格が低下しているのです。

しかしながら、1年経過した場合には金利が2%ついていますので、実際は金利を受け取っています。
よってポートフォリオ全体では91.59の国債と2の金利、つまり93.59に価格が下落しているといえます。
100の国債を保有して93.59に低下しているので、6.41分値下がりして含み損を抱えたことになります。

額面1000ドルを1口購入していた場合は、64.1ドルの含み損となります。

3年保有して金利上昇が1%の場合

では次にあなたが国債を購入した時の米国債30年もの(Bond)の金利が2%だとした際に、アメリカが利上を繰り返し3年後に米国債の金利が3%まで上昇した場合には、どの程度のインパクトがあるか計算してみましょう。

式を当てはめると購入時の利率は2%、残存期間(分母、分子とも)は27年、換金するときの長期金利は3%を入れて計算します。

$$金利変動後の国債価格=\frac{(100+2×27)}{(100+3×28)}×100=\frac{154}{181}×100=85.08$$

以上の結果より、3年前に購入した利率2%の国債30年ものは、85.08になることが分かります。

国債は金利が上昇すると価格が下がるといわれる意味はこの計算結果から判断できますね。
金利が上昇すると分母の数字が増えるため、国債価格は低下します。

等価となる利回り

金利上昇による値下がりは、発行後3年経過したBondを持ち続けても、その時に新発債となる金利3%のBondを購入して27年保有し続けても、両者の利回りに優位差がない水準に価格が落ち着くためです。

国債は確定利付き商品券になりますので、金利2%の30年物国債は、年数が経っても金利は2%のままです。
その場合に新発債で3%の金利や5%の金利の物が登場した場合には、当然同じ価格のままでは後発の金利が高い商品に人気が集中します。

そこで、これから購入する投資家が金利2%の国債を購入しようとする場合には、この国債価格が安くなって、合計で受け取れる金利が現在発行されている国債金利と同等でないと、魅力のない債券となり流通することが無くなります。

つまり、国債が値下がりして、後発の金利と同じ3%になるように債券価格が値下がりするのです。
債券価格が値下がりする、つまり安く購入することで、金利3%の国債と同じだけの金利を受け取れる国債になります。
それを利回りで評価しているのです。

ただし年数経過で金利は受け取っている

国債投資を金利の上昇局面で行うと、当初購入価格が100(額面1,000ドル)であったものが、85.08になります。
よって850.8ドルに値下がりしていることになります。

ここで注意しないといけないのが金利は当初の「利率」通りに受け取っているということです。

当初2%と言うことだから20ドル×3年分=60ドル(ここでは換金等のコストは考慮しない)をもらっているわけですから、1000ドルが850.8ドルに値下がりしても、この3年間で60ドルをもらっているので、実質の値下がり分は910.8ドル相当であると解釈することが出来ます。

金利動向を見極めるのは難しいものですが、金利が上昇しそうな時の購入には注意が必要です。

計算式の意味

この計算式の意味は、利回りが等価となる水準を算出していると述べました。実際に式の意味を捉えると、優位差が無いことが分かります。

額面の100で金利が2%の30年物国債が3年経過しています。残りは27年間、金利2%を受け取ることが出来ます。
受け取る金利の総額は、2*27=54となります。

この時にこの債券を購入する場合には85.08となっていますので、支払いは85.08であり、受け取る金利は54、そして満期に額面で償還されるので100で償還されます。
つまり受け取る利益の総額は、100-85.08+54=14.92+54=68.92となり、利回りは68.92/85.08/27=年利3%
(100+2*27)の式は27年間の金利と、償還される元本を示しています。

一方3%の利率の国債を新規で購入して27年後の利回りは100の額面の債券を100で購入すれば、利益は金利分しか発生しないので3%となります。
この意味が(100+3*27)に示されています。

この両者の比率がイコールになるようなxを求めるのが式の意味となります。
この比率が「利回り」になるわけです。

投資の尺度である利回りが同じであれば、どちらに優位差もないということが分かります。

このように考えると、27年物の金利2%のBondを購入しても、新発債の30年物の3%のBondを27年間保有することは両者に差が無いのです。

利回りで考えると購入時は85.08、これが償還時には100になり、金利が2*27もらっていることになりますので、
利回りは100-85.08+2*27=68.92/85.08/27=3%となります。

Bond新発債の27年後は償還確定していない

ただし、新発債の30年物Bondを27年間保有しても、額面の100で償還されるのはその3年後になるので、償還日が近い既発債の方が予測はしやすいといえます。

このような分水嶺にまで、債券の価格が下がり、この債券が割安になります。
この価格は需要と供給により妥当な水準にまで値下がりします。

このように市場で取引されている国債は、あらゆる金利や残存期間が設定されていても、今取得して同じだけ保有すれば利回りは同じになるような値付けがされています。

値付けのロジック

なぜそのような値付けがされるかと言うと、アメリカ自信を含む世界中の政府や民間企業やヘッジファンドが国債を取引するため、少しでも有利な値付けがされている国債は裁定取引のようにたちどころにそのサヤを取りに資金が集まり、瞬時にサヤが抜かれて適正価格に戻るからです。

日経225と日経平均先物のように瞬時にサヤが抜かれて価値が同じように値付けされるのと同様なさや取りを、世界規模で行われている米国債市場で、参加した個人投資家がサヤを取れることはほとんどありません。

何兆と言う国家予算を運用するプレーヤーが少しでも条件の良い国債を探して機械トレードをしている場合には、個人投資家が目視で検索した債券にサヤがあるということはほとんどないでしょう。

そのくらい市場規模が大きい米国債市場なので、たちどころにあらゆる残存日数、設定された金利の国債の価値が同じになるように値付けされます。

サヤを抜くことがほとんどできない市場と言うのは、見方を変えれば個人投資家は不利益がない公平な市場で取引が出来ているとも言えます。
このような市場に参入して取引できるのが米国債市場になります。

金利上昇の損を保有期間が補う

つまりこの式に従うと、金利が上昇すればするほど含み損が増えるということになります。
しかしながら、国債は満期では額面の100で償還されることが決まっています。

例えば29年後に金利が7%まで上昇した場合を考えてみましょう。
10年後に7%まで上昇したとすると

$$\frac{(100+2×20)}{(100+7×20)}×100=\frac{140}{240}×100=58.33$$

ところが20年後は

$$\frac{(100+2×10)}{(100+7×10)}×100=\frac{120}{170}×100=70.58$$

と年数が経過すると徐々に100に近づいて値上がりします。

そして満期直前の29年後には債券価格は

$$\frac{(100+2×1)}{(100+7×1)}×100=\frac{102}{107}×100=95.32$$

となり、金利の上昇分をもってしても債券価格が100に限りなく近づいています。

満期になると100で償還される

そして年数を0にすると、この式は100となります。

$$\frac{(100+2×0)}{(100+7×0)}×100=\frac{100}{100}×100=100$$

満期では必ず100になるということが証明できています。

このように、国債は満期まで保有すれば必ず100になる商品です。
途中で決済する場合にはこのように値下がりの含み損が発生することがありますが、満期になれば、たとえアメリカの金利が10%になっても20%になっても、償還は100で実行されます。
このような商品が国債なのです。

STRIPS債の場合は金利を織り込む

STRIPS債の場合は、金利分配分を本体価格から割り引いて算出された商品です。

今回の記事では金利の分配を考慮して記載しましたが、STRGIP債を用いると金利分を区別することなく本体価格のみで比較することが出来て分かりやすい商品となっています。

ただしSTRIPS債は今回のような単純な比率ではなく、実際の値付けにおいては将来価値をディスカウントして算出されますので、厳密に計算通りにならない場合があります。覚えておきましょう。

これから米国債投資をする場合

これから米国債投資を始める場合には価格が下がったところで購入する方がお得になります。
利上げが明確であれば、利上げ実施まで待ってから投資することで安く国債を仕入れることができます。

まとめ

国債の購入を検討している投資家は、もし金利が上昇すると思えば、金利が上昇した後に国債を購入するのが良いといえます。

今すでに国債を購入している投資家は、金利によってどのくらいまで値下がりをするのか把握しておく必要があります。

言葉では簡単に言えますが、今後の市中金利を予測し判断するのは難しいものです。

国債価格が下落する前に今保有している国債を手放すことは難しいのですが、金利がどのくらい上がると国債価格はどの程度下がるのかは予測することが可能です。

どの程度まで下がるかが、購入時の金利と、現在の金利から算出することが出来ますので、いつが購入のタイミングかを予測して投資しましょう。


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