日経VI先物の買い戦略と売り戦略のどちらが有利か?


日経平均VI先物(=日経VI)は日経225オプションのインプライドボラティリティに連動した商品です。

最も始めやすい戦略はインプライドボラティリティが低い時に日経VI先物を買って、仕込んでおくことです。
しかしながら買い戦略はいつ起きるかわからない暴騰をじっと待っておく我慢の戦いです。

一方の売り戦略は相場急変時にポジションを組成すると利益になりやすいメリットがありますが、暴騰した際の損失が無限大になる可能性がありリスクが高い取引でもあります。

ここでは日経VI先物の買い戦略と売り戦略を解説します。

このように買い戦略と売り戦略を把握しておけば収益機会を逃すことなく投資を行えるようになります。

買い戦略

いつ吹くかはわからない日経VIの上昇を期待しながら待ち続ける戦略です。
何か大きな事件や事故が起きることをずっと待ち続ける戦略です。

損失は限定的

この戦略においては損失は限定的だといえるでしょう。
なぜなら、日経平均VI指数の底値が過去のチャートを見ると13ポイント前後までしか下がっていません。

このため、もし今から日経VIが下落したとしても、10ポイント以下にはならないという予測が立てられます。

一番低い時で東日本大震災の後の日経平均株価が8,000円台になって相場が動かない時でも13ポイント付近だったので、下値は限定的と言えるでしょう。
よって最大損失額の予測が比較的立てやすいメリットがあります。

満期がある先物

しかしいつ吹くかわからないということは、長期戦で買って持ち続けないといけないことになります。
しかし先物の性質上、満期が決まっていますので、そのタイミングになると保有している期近の先物は自動的に反対売買されられてしまいます。
つまり自らの意志とは別に制度上投資を続けられない事になってしまいます。

ロールオーバー

よってこの日経VIによる投資を続ける場合には、投資家自身が新たに期先の先物を買うことにより連続的な投資を実現することになります。
これをロールする、ロールオーバーすると表現します。

このロールオーバーする際にロスが出てしまうと、期待収益を押し下げることになります。

具体的には期近の日経VI先物が13ポイントとなっているところが、期先の日経VI先物は14ポイントになっていたとします。
投資家にとっては13ポイントである日経VI先物を連続して保有しておきたいのに、満期には期先の先物に乗り換えないといけなくなります。
この際に13ポイントで期近の安い先物を反対売買して、新しく高い期先の先物を買います。

「安いものを買って高いものを売る」のが投資の基本ではありますが、今回は逆に安いものを売って高いものを買っているので、差額である1ポイント分をこのロールオーバーによってロスしてしまうことが分かります。

先物を長期で保有するために金利や維持手数料は払わなくて良いのですが、このロールオーバーをコストとして計上しなければいけません。

本来なら1年ものなどの長期先物を保有したいところですが、日経VI先物は第1限月の期近と第2限月の期先に流動性が集中していますので、実質は翌月の期先物までしか取引することが出来ません。
よって数ヶ月、数年放置して待ち続けることは出来ずにロールオーバーのコストを支払って保有し続けることになります。

仮に13ポイントと非常に低い位置で日経VI先物を保有できたとしても、1ヶ月毎に1ポイント高いものにロールオーバーしていくと、1回めのロールオーバーでは13ポイントを転売して14ポイントを購入、さらに翌月は14ポイントを転売して15ポイントを購入(※期中の変動は考慮せず)していくと、実に7ヶ月保有し続けるだけで日経VI指数の平均と言われている20ポイントに到達してしまいます。
20ポイントまでの上昇分が全てロールオーバーコストになるため、投資家は13ポイントで買って20ポイントに手仕舞いをしても得られた利益は0です。

もっとも期間中全く動かないということは無いでしょうし、期近と期先の価格差が常に1ポイントとなるわけではないので、実際のロールオーバーコストは低下するかもしれませんが、ロールオーバーコストも無視はできないということです。
しかしながら日経VIが平均の20ポイントより低い時にはコンタンゴが起きやすいので、確実にロールオーバーの際には確実にロスが出るものと考えておいたほうが良いでしょう。

このコストを上回るような変動が起きることを期待して日経VI先物を持ち続けることになりますので、長期戦になればなるほど日経VI指数の大冒頭が起きないとこの投資は失敗だったということになります。

手動で買い建てる必要がある

また、ロールオーバーを自動で行ってくれる証券会社はありませんし、ザラ場中では売り気配値と買い気配値が乖離していることがしばしばありますので、手動で発注をしていくことになります。
日経VI先物は大引けには100枚単位でまとまった売買がありますが、このロールオーバーする際には満期前日の大引けを狙って新規の先物を買い建てる必要があります。
この際に満期前日から満期当日までは2枚保有していることになりますので、2倍の証拠金がかかることになります。

もし買い建てるのを忘れてしまった場合には、日経VIが上昇してしまっても買い玉を持っていないので利益の取り損ね、機会損失となります。

この点では後述する売り建てのような損失リスクを取っているわけではなく機会損失を被る程度なので、被害は少ないといえます。

証拠金

証拠金については1枚あたり10万円程度と、非常に小さい単位から始めることが出来ます。
1ポイント変動すると1万円の損益が発生するので、わずが1ポイントで投下資金に対して10%の変動があるということになります。

売り戦略

一方の売り戦略ですが、買い戦略と違って1ヶ月、または数ヶ月の短期決戦で終わらせることを狙います。
なぜなら吹いたボラティリティは必ず下がるという特徴がありますので、吹いたて高くなったところを売り、市場が不安感が和らいでボラティリティが低下するときに手仕舞いをします。
吹いたボラティリティは高止まりすることもありますので数ヶ月はロールオーバーすることも必要かもしれませんが、高止まりして戻らなかったボラティリティはありませんので、いつかは必ず低下します。

その低下を利益に変えるのが日経VI先物の売りとなります。

リスク

リスクは高騰するリスクです。
過去の事例から100ポイントはほとんど到達しませんが、これは過去の経験則から言えることであって、将来に渡って必ず100ポイントにならない保証はありません。

しかし、投資に100%の「絶対」はないと言われますが、ボラティリティが下がるというのだけは「絶対に」下がりますので、唯一「絶対」と言ってもいいかも知れません。

また、「絶対」下がることは言えても、実現するまでの期間はわからないので、不安要素が取り除かれてすぐ低下することもあれば、人間の脈拍のようにびっくりして上昇したら、平静になるまでに時間を要することもあります。
大抵は急低下せずに緩やかに低下していく傾向があります。

ゆるやかに低下していくと買い戦略の時に解説したロールオーバーを実行しないといけないため、ロールオーバーコストがかかってきます。
このロールオーバーコスト以上に日経VI先物の数値の低下が起きるかどうかが投資判断の決め手となります。

なお、高騰した日経VI先物の価格形成はバックワーデーションとなり、今度は期近より期先の方が安くなります。
高い期近を買い戻しして、安い期先を新規売りしますので、「高いものを買って安いものを売る」という投資行為の合理性を欠いた投資行為をすることとなります。
そのことを意識しながらゆるやかに低下するのを待つのが日経VI先物の売り戦略となります。

ナンピン

もし日経VI先物を30ポイントで1枚売っていてボラティリティが上昇した場合には、ナンピン売りを仕掛けるのも有効です。
ただしナンピン売りは資金量が必要です。資金量があ、さらに含み損が膨らんでも耐えられる精神力が必要となります。

もし日経VI先物が50ポイントになった時に1枚売れば、30ポイント1枚+50ポイント1枚で平均40ポイントで2枚保有したこととなります。
現在日経VI先物が50ポイントにいるので10ポイント低下すれば損益はプラスマイナス0となります。

さらには日経VI先物が50ポイントから40ポイントに低下したということは、ボラティリティの性質上ゆっくりと低下していくことが予想されます。
その時に日経VI先物を2枚持っているので、もし日経VI先物が最初に売り建てた30ポイントに低下した時には平均取得単価40ポイントとの差額である10ポイント×2枚の20ポイント分、額にして20万円の利益を得ることが出来ます。

このようにナンピン売りをすればするほど有利な状況が生まれます。

しかし課題もあります。
それは、天井が見えないということです。
50ポイントでナンピンをしても、そのままボラティリティが上昇して日経VI先物が70ポイントになるかもしれませんし、100ポイントを越すような波乱が起きるかもしれません。100ポイントでとどまる保証もありません。
そのリスクを取って日経VI先物を売る覚悟がないといけません。

もし70ポイントに上昇した場合には、保有枚数と同数の2枚以上をさらに売ることが良いでしょう。
ナンピン売りのポイントはいかに取得単価を上げる事なので、できるだけ多くの枚数を高値で売っておくことが重要です。

しかしながらさらなる上昇を見越した場合には闇雲に売り枚数を増やすのは危険なので、同枚数の2枚程度が良いでしょう。

こうして売り取得単価を引き上げる行為を行いながらいつか数値が下がるのを待つのが売り戦略となります。

株式投資のナンピンとの違い

一般の投資ではナンピンは危険なもので、初心者はやってはいけないと言われています。

その真意は、安いと思って株式投資を行いそれが失敗した時に、自らの投資行為の誤りを否定するのではなく、さらに自己肯定するように同じ方向性に掛ける行為となるからです。
株は必ず上がる保証はありません。買った価格が最高値で元に戻らないこともありえます。
例えばバブルの時やITバブルの時に高値で買った株が今でも元に戻っていないこともありえます。

しかし、インプライドボラティリティは違います。
必ず上った数値は下がるのです。

必ず下がるものをナンピンするのは危険ではありません。
ですが、資金量が多く必要になりますので、中途半端にナンピンをして途中で諦めてしまってはいけません。
資金量が足りなくなったらロスカットをする覚悟を持って、相当程度の資金量を元に売りを建てていく必要があります。

よって最初の売りでは、資金に余裕があった状態で売り建てるので、資金効率の面では買い戦略より不利になります。
よって効率化を図るのであれば、他の投資で運用しておいて有事の際には振り分けられるような投資をしておいたほうが良いでしょう。
そのためにも換金性が高い流動性のある資産が良いと言えます。

また、必ず保有枚数と同数を売るのではなく、場合によっては一部損切りをして枚数を減らすことも検討したほうが良いでしょう。

ナンピンの売り価格は高ければ高いほど平均取得単価が高くなりますが、今が高値なのか更に高くなるのかわかりませんので、安易に数ポイント上昇しただけでナンピンを実行するとあとの資金量が続かなくなる恐れもあります。
よって資金管理が非常に重要な戦略でもあります。

まとめ

低IV時に仕込んで急騰を狙うのは日経VI先物を買う。
最大損失額は限定的だが、いつ吹くか分からない。
じっくり待つためにはコンタンゴによるロールオーバーコストをかけながら保有することになる。

日経VI先物をショートする際には資金量が必要。
万が一に備えるためには等倍の資金量で実施する必要がある。
満期になった際にはロールオーバーする必要がある。しかしロールにはロスが生まれる。

以上を理解したうえで買い戦略と売り戦略を相場に合わせて繰り出すことが収益を上げるポイントとなる。

そして絶対はないと言われる投資の世界で唯一絶対が存在するのは「吹いたボラティリティは必ず下がる」。
この事実を売買行為に反映させることが投資で利益を上げるポイントとなります。


 

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