ベガロングを実現する応用カレンダースプレッド


ベガロングポジションとは、オプションのリスクパラメータ(ギリシャ文字)のベガの値をプラスにしたポジションのことです。

オプションはベガの値はプラスなので、プットでもコールでもオプションをロングすることでベガロングポジションは実現しますが、単純なロングポジションよりも異限月間取引、つまり異なる限月で組成するカレンダー系スプレッドでも組成することが出来ます。

なぜならオプションは満期まで残存日数が多いほどベガの値が大きくなる性質があるからです。

今回は期近と期先の枚数比率を変えることでベガロングかつガンマロングを実現したポジション組成方法を説明します。

枚数比率を調整したベガロング

建玉は以下の通りです。ベガをロングで取り出せていることが分かります。

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リスクカーブは以下の通りです。

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緩やかなおわん型なので、ガンマロングポジションです。
これが時間経過でどのような損益となったか見てみましょう。
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※終値ベースでの検証ですので、プレミアムが正確ではない場合があります(ザラバ引け等)。

この事例では見事に利益となりましたが、期近3枚売り+期先5枚買いというのはポジションサイズが大きく感じますので、ポジションを簡素化することを検討します。

ポジションを簡素化したベガロング

簡素化したポジションがこちらとなります。1:2の比率で組成しています。

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これはややアウトオブザマネーのオプションを利用していますので、流動性の問題は小さくなっていることと、プレミアムも比較的小さいですから、資金量もそれほど必要ではないことが分かります。

ただ、ポジションを単純化していますので、前述したポジションと異なりセータを小さくできてはいません。
もっとも、単なる買いのポジションに比べると、セータの値とベガのバランスが良いことが見て取れます。

では、このポジションのリスクカーブ、損益の推移を見てみましょう。
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数日で相場が大きく動き、結果IVも上昇しました。結果利益となっています。

このポジションは、ベガロングを単純に組むポジションです。
IVが低い時の他に、IVが高どまりする可能性が高いと思ったときに組んでみると面白いかもしれません。

異限月ベガロングポジションとプット買いの選定基準

ベガロングポジションとして、オプション買いと、異限月間スプレッドの2パターンがあるという説明を冒頭で行いました。この選定基準について説明します。

例えば相場観入れて暴落があるかなと思えばプットを買う方が良いでしょう。
単純かつ効果が高い戦略となります。

しかしながら、プット買いはデルタがマイナスなので相場観が外れて原資産が上昇してしまうとデルタのせいで損失が膨らみます。
そのような相場観を排除するためには、デルタニュートラルにしたベガロングポジションが優れています。

また、場合によりますが原資産価格が上昇してIVも上昇する場面もありますので、ベガロングポジションを組成するというのはIV上昇を見込める状況なら利益になりやすいと言えます。

リスクの比較

もしファーアウトオブザマネーの屑プットを買っているなら、プットのほうがコストは抑えられます。

ベガをロングするポジションは、建玉にもよりますが期近期先を使い、ベガを大きくするためにATMに比較的近いところになることが多く、損失リスクとしてはベガロングのほうが大きいです。

そこで今回解説したような期近と期先の枚数比率を調整するやり方だと、ガンマセータが小さい分ベガを大きくしてもタイムディケイでやられにくいので取りやすい戦略ではあります。

ただし、ベガロングはいつ起きるかわからない暴落をずっと待つので、根気が必要となります。
低IVでは、いずれ吹くことが分かっていると言っても、いつ吹くかわからないのがIVになります。

ポジティブサプライズが起きない限り、原資産価格の上昇によるIV上昇はあまり起きません。

プット買いは方向性のリスクを取って、暴落を当てに行く戦略。
ベガロングは方向性は取らないけどどちらかに動いた結果IVが上昇してくれることを待つ戦略。

この両者のリスクの取り方のどちらを選択するかで決めると良いでしょう。

ベガロングポジションが解説されない理由

以上がベガロングポジションの戦略事例です。
このようなメリットがあるベガロングポジションですが、一般的な教材ではこのような戦略を取り上げているところはほとんどありません。

理由は異限月間スプレッドの損益メカニズムの表現の難しさにあります。

異限月間スプレッド(カレンダースプレッド)とは

カレンダー系のポジションには、期近を売って期先を買うカレンダースプレッド、期近を買って期先を売るリバースカレンダースプレッドがあります。
これは、同一の権利行使価格で、期近と期先の枚数も同じにするのが一般的であり、ほとんどの教材で枚数比率1:1のカレンダースプレッドを取り上げています。

カレンダースプレッドの利益構造

カレンダースプレッドは、満期においてATMとなっている場合が最大利益となります。
また、スプレッドが拡大する方向で利益となります(必ず期近の方が安くなりますが、その安い方を売って、高い期先を買うので、このさやが広がると利益となるのです)。

カレンダースプレッドは同じ権利行使価格を用いますので、本質的価値は期近・期先等しくなります。
さやは時間価値の差ということになります。

期近SQ時点で期近が0となった時、まだ期中である期先が最大の時間価値を持つところが最大利益となりますので、カレンダースプレッドをATMで組んだ場合は、動かないとうれしいポジションとなります。

そして小さいながらもベガはプラスです。
したがってIVの低下局面では利益は小さくなってしまいますので、動かないと嬉しいポジションでありながら動かないでIVが低下すると損が増えるという二律背反を抱えたポジションでもあります。

カレンダースプレッドの解説の難しさ

カレンダー系のポジションの難しさは、市販の教科書において、当該ポジションの損益がどうなるのか、あらかじめ具体的に示されないことに起因する面があるあもしれません。
ただ、例えば、ボラが上がると予想してカレンダースプレッドを組んだ場合、予想通りボラが上がった場合にどれくらいの利益が出るのか、逆に下がってしまった場合、損失はどの程度か、といったようなことを体系的な文書の中で示すのは、文書の性質上難しいのが現状です。

従って一般的な教材ではオーソドックスな期近と期先の枚数比率が1:1であるカレンダースプレッドのみを取り上げており、さらにはベガの影響を記述できていないことがほとんどです。

ぜひこの記事を読んでベガロングポジションをマスターしてみてください。

まとめ

IVが上昇しそうな場面、あるいはIVが噴いた後、いったん下げてきて落ち着いた場所で高止まりを確認して期近12期先2+先物ヘッジのベガロング+ガンマロングのポジションをとることが出来る。

プット買いとベガロングポジションのどちらを選べばいいかという選定基準としては

  • プット買いは方向性のリスクを取って、暴落を当てに行く戦略。
  • ベガロングは方向性は取らないけどどちらかに動いた結果IVが上昇してくれることを待つ戦略。

このメリットとデメリットを比較して決めていくことが良いでしょう。

なお、オプション投資家養成塾第8章の解説では、今回取り上げたベガロングポジションを含めた異限月間取引の全体像を学ぶことが出来ます。

さらに戦略に特化したセミナー動画を下記にて紹介しています。

 


 

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