NYSEのSLV(銀ETF)とサクソバンクの銀とは

投稿者名:金森 雅人

最近サクソバンク証券を用いた銀オプション関連の質問が増えてきました。

その中でとりわけ多いのがニューヨーク証券取引所(NYSE)のSLVオプションとの違いについて知りたいという声が多くなってきています。

そこでこの両者の違いについて説明します。双方にメリット・デメリットがあり、どちらかが一方的に優れているということはありません。
何をリスクとして引き受けるか、取りやすいか選択のポイントとなります。

 

NYSEの銀ETF vs サクソバンクの銀

まず言葉の定義、解説する項目の範囲について決めます。

これまでこのサイトで説明してきたサクソバンクで取引する銀オプションは「サクソバンク証券で扱う貴金属証拠金取引の銀を原資産とする銀オプション」です。

一方でNYSEのSLVというのは、銀の価格連動型投資信託(ETF)であり、 iShares Silver Trustという企業が発行している投資信託のことです。
性質が異なるのですが、銀という鉱物をドル建てて運用でき、価格も非常に似ているため比較として挙げられます。

ここでは「SLV及びSLVオプションの特徴」「アメリカ市場(NYSE)の特徴」「IB証券の特徴」というように区別します。

このように「IB証券を使ったNYSEのSLV」vs「サクソバンクの銀」の違いについて説明します。

SLVとは

まずはじめに、SLVというのはアメリカ市場(NYSE)に上場されている価格連動型投資信託です。国内で取引できるメジャーな証券会社はインタラクティブブローカーズ証券(IB証券)がありますのでここでの取引を前提として解説します。

iShares Silver Trustという会社が発行しています。

[bc url=”https://www.blackrock.com/jp/strategies/about-ishares”]

この企業が倒産するとETFは取引することができなくなります。
しかしETFは裏付けとなる資産を保有して運用することが義務付けられているため、仮に破産したとしても紙くずにはならずに多少は償還が期待できます。

もっともiSharesとはETF純資産残高: 約9,374億米ドル(業界首位)と、とてつもなく非常に大きな規模の企業ですので、簡単に潰れるような企業ではありません。

万が一この企業がiShearsから撤退する場合には、他の引き受け手が現れてETF自体は存続するものと考えられます。

ETFは原資産を担保に証券化していますので、銀の現物と考えても良い商品です。

サクソバンク証券の貴金属証拠金取引の銀商品とは

サクソバンクが提供している銀ドル建ての商品です。

FXも証拠金取引の一種です。こちらはETFと異なり、裏付けとなる資産がないため、破綻時には償還される資産がありません。その代わりレバレッジを効かせることができる商品です。

資産に裏付けがないと不安になるかもしれませんが、それは扱う企業が破産などのイレギュラーな事態を想定した時であり、銀の価格そのものによる影響ではありません。

価格差を利益に変えたいという場合にはあまり厳密に区別する必要はないかもしれません。

以上の内容をもとにそれぞれの特徴を挙げていきます。

取引単位

サクソンバンクは100トロイオンス単位で、NYSEのETFも100単位になるため、同一です。

価格

サクソバンクは相対取引になりますので、サクソバンクがインターバンクを通じて取引をした取引を経て、我々に価格提示がされます。よって値付けはサクソバンク自身が決めているので市場原理に基づく価格ではありません。
しかしながら、SLVなどの取引所取引の価格を意識しているものと思われますので、市場とかけ離れた価格とはならないことが多いです。

およそ1ドル弱サクソバンクの銀のほうが高めです。ただしこの価格差が縮まることは殆どありません。

一方のNYSEに上場された銘柄は、取引所取引です。価格は市場参加者が決めますので、透明性・公平性があります。もちろん市場参加者が誤った判断を行うと歪みが生じます。
取引所取引ではマーケットメーカーが常に気配値を出していますので、歪みも許容できないほどずれるということはほとんどないです。

流動性

サクソバンクは相対取引になりますので、流動性の懸念はありません。

日経225オプション投資家には馴染みがあまりないのですが、流動性という概念は無く、BidとAsk(売り気配と買い気配)が提示されていて、どちらかにぶつけることで必ず約定します。
サクソバンクはBidとAskの幅を調整することで自身がインターバンクで調達する原資との差を発生させて利ざやを稼いでいますので、売る場合はBidの価格に直接売り注文を出せば約定します。

一方のNYSE上場ETFでは、取引所取引なので流動性の懸念があります。
しかしながら日本の日経225オプション市場よりも数倍市場規模が大きいアメリカ市場でありSLV自体はとても人気がある商品なので流動性は問題ありません。
流動性の指標としてはこちらもBidとAskの差を見て判断することが出来ます。この両者の価格が縮まっているほど流動性があると判断できます。

オプションのインプライドボラティリティ(IV)

IVを算出するための要素は

  • 原資産価格
  • オプションプレミアム
  • 権利行使価格
  • 満期までの残存日数
  • 金利

となっていますが、この両者で考慮する値は原資産とオプションプレミアムになります。権利行使価格や残存日数、金利についてはほとんど無視しても良いでしょう。
SQまでの残存日数は銘柄によって異なるため厳密に比較できない場合もありますが、原資産は前述したように異なることと、プレミアムが相対取引と取引所取引のために異なります。

しかしながら、与える影響は軽微であり、売買時の判断に影響するほどではありません。

維持証拠金

銀オプションのセミナー動画でも解説していますが、サクソバンクの場合は証拠金は原資産の8%のみで保有することが出来ます。
15ドルの原資産の場合は8%の1.2ドル×100=120ドルで保有することが可能です。

一方のNYSEのETFは丸代金、全額必要です。15ドルの銀の場合は15×100=1500ドル必要となります。
しかしながらIB証券で取引する場合には要求してくる資金はその半分となります。
信用取引扱いとなり保有資金の2倍まで取引することが可能なため、750ドルの証拠金を拘束されることで取引が実現します。
よって750ドルあれば保有することが出来ます。
(なお、オーバーナイトしないで決済する場合は50%ではなく25%となっています)

レバレッジに換算すると、サクソバンクは12.5倍、IB証券は2倍という計算になります。

取引手数料

サクソバンクは手数料相当としてミニマムチャージがあります。通常10ドル発生します。
5000トロイオンス以上の取引を行う場合はかかりません。

一方のIB証券では、ほぼ一律約1ドルかかります。

プットオプション売りを行った時の証拠金

サクソバンクでは原資産の8%の証拠金になるので、例えばP14を1ドルで売った時でも原資産15ドルの8%×100オンスの120ドルが拘束されます。

IB証券では、約370ドルとなっています。この証拠金計算は具体的にはIB証券のホームページに記載されていますが、計算式=(受取プレミアム+(原資産の20%-アウトオブザマネー相当分))×100倍×枚数となっています。

現物を保有した時の拘束金

サクソバンクは証拠金取引となりますので、証拠金は8%の120ドルとなります。
ただしスワップポイントが別途発生します。

IB証券ではETFを保有するのはオーバーナイト(日をまたぐ)時には50%の証拠金が必要となるため、750ドルです。
IB証券では調達コストはありません。

カバードコール

サクソバンクの場合は現物を持ってカバードコールをした際でもネッティングされないため、現物の証拠金8%+コール売りの証拠金8%=16%の証拠金が拘束されます。

IB証券ではカバードコールは損失は現物保有のリスクのみとなっているため、追加で証拠金はほぼ不要です。つまりETF保有資金を用意しておけばカバードコールはできることになります。

オプションの満期

サクソバンクはヨーロピアンタイプとなっており、満期まで決済されることはありません。また、スポットかキャッシュか決済タイプを選択することが可能です。

SLVの場合はアメリカンタイプです。期中でインザマネーになり権利行使された場合には売り手は応じる義務があるため途中でETFに変わる可能性があります。満期では自動的にETFに変わります。

 

まとめ

サクソバンクの銀とNYSEの銀ETFを紹介しましたが、どちらかが一方的に有利と言うことはありません。

必要な資金で考えると、サクソバンクの方が少ない資金で取引が可能です。
しかしそれは取引の土俵に立てるための最低条件であり、損失が出にくいとか利回りが増えるということはありません。
自己資金が少なくレバレッジがかけられるということは、それだけリスクが高いということです。
一番安全なのは15ドルの銀を買う時に満額の1500ドルを用意しておくこと。こうすれば銀の価格がゼロにならない限り証拠金不足になることはありません。

この考えはLEAPS戦略で最も大切な考え方なので、LEAPS取引で7ヶ月利回り31.7%を得た具体的手順を併せてお読みください。

どちらの取引を行うか、どちらを好んで選択するかの判断材料としてお役立てください。

 

 

 

 

※当ブログは筆者の個人的な見解を示すものにすぎません。掲載しているデータの収集とその分析についても、筆者の個人的な視点に基づく分析であり、その有効性を保証するものではありません。解説においては、筆者の独自の視点で学習目的のために事例を簡略化している場合があるため、資料の中で紹介される事例は実際の相場とは異なる場合があります。取引事例についても、完全に再現しているものではなく、かつ、その有効性を担保するものではありません。また、本資料に含まれる記述や情報については十分精査しておりますが、その内容に関して筆者は一切責任を負いません。

※当ブログは過去の市場分析と戦略案を検討するものでありますが、取り上げている投資戦略についてはシミュレーション上のものであり、確実にそのような結果が出ることを示すものではありません。また、相場状況によっては損失が出ていた可能性も十分にあり得ます。当該シミュレーション結果が解説の中で説明した戦略の優位性や利益を保証するものではありません。よって、その内容を将来に当てはめて利益が出ることを保証するものではありません。投資手法の有効性などにつきましては、読者の皆様において十分に内容をご精査いただき、商品の特性、取引の仕組み、リスクの存在、手数料等を十分にご理解いただいたうえで、ご自身の投資判断と責任でお取引いただくようお願いします。

※株式取引(米国株式)、オプション取引(米国株オプション取引)においては、株式相場、為替相場の変動等によって損失が生じるおそれがあります。お取引に際しては、あらかじめお取引先の金融商品取引業者等より交付される契約締結前交付書面等を十分にお読みいただき、商品の性質、取引の仕組み、リスクの存在、手数料等を十分に御理解いただいたうえで、御自身の判断と責任でお取引いただきますようお願い申し上げます。
 

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