デビットスプレッドは無限の利益を放棄した現実派の戦略

投稿者名:金森 雅人

あなたはデビットスプレッドを有効に活用していますか?

オプションを学ぶと一番最初に知るスプレッド戦略がこのデビットスプレッドになりますが、勉強すればするほど複雑な戦略に目移りしてしまうため、意外と組成されない戦略です。

ですがこのデビットスプレッドを有効に活用することで、大数の法則に従って利益を残せるチャンスがあります。

この記事ではデビットスプレッドのメリットと解説します。

【目次】

1.デビットスプレッドとは

2.コールオプションを1枚買った事例

3.日経平均の暴騰幅の予測

4.250円幅のデビットスプレッド

5.デビットスプレッドのメリット

6.最大利益と最大損失

7.大数の法則に従うには

8.まとめ

 

1.デビットスプレッドとは

デビットスプレッドとは、オプションのスプレッド売買の一種です。

スプレッド売買というのは、買い玉と売り玉を合わせて戦略を組むことで、損失限定にすることやリスクをコントロールすることが出来るようになります。

オプション1枚を買うと、損失限定・利益無限大というポジションが出来上がります。

もし相場を正確に当てられるなら、現物を購入するのが一番ですが、当てられない/自信がないという人のために、もし相場があたった時に利益が無限大に得られることを放棄して有限の利益で満足するのが、デビットスプレッドの特徴です。

2.コールオプションを1枚買った事例

この図は、9月限のC17000を9/5に1枚買った損益グラフです。

2016-09-10_144419

このグラフを見て分かるように、右に推移すると(=日経平均が上昇すると)利益が比例して得られることを示しています。

つまり日経平均が暴騰しさえすれば、その暴騰の分だけ利益を狙えるというポジションです。

しかもグラフの左側(=日経平均が下落する方向)を見てみると、水平になっています。

つまり損失が限定されていて、これから日経平均が大暴落しても、このポジションからの損失は一定額になります。

その額はc17000を買った時のプレミアムに限定されていますので、160円(日経225オプションは1000倍なので16万円)よりも損失額は膨らまないということになります。

3.日経平均の暴騰幅の予測

では、このような損益グラフは、あなたの相場観にマッチしているでしょうか。

日経平均が暴騰したら無限の利益が得られるとしても、無限に日経平均が暴騰すると考えているかどうかによっては、無限の利益を狙う必要が無いと考えるかも知れません。

例えば、現実的には日銀が金融緩和をしたとしても、2万円までしか行かないかもしれません。

2万円すら行かないで、今より1000円位上昇して終わるかもしれません。

または、このオプションは9月限なので、満期が9/9になりますので、あと1週間しか無いのだったら250円程度上がれば充分だと考えるかもしれません。

そう考えた時には、このポジションは無限の利益を狙わなくても、ただ250円上昇すれば良いだけのポジションに変更したほうが、現実的になるとも考えられます。

そこで、250円上昇すれば良いだけのポジションとして、デビットスプレッドを組むのです。

4.250円幅のデビットスプレッド

C17000を1枚買い、権利行使価格が250円高い、C17250を1枚売ります。

このようなスプレッドを組むと、損益グラフがこのように変化します。

2016-09-10_144515

17250円以上は、いくら日経平均が暴騰しても、利益は限定になりました。

もちろん損失方向はC17000を1枚買ったのと同様、損失限定のままです。

5.デビットスプレッドのメリット

デビットスプレッドは、コールの1枚買いポジションと比較して優れている点は、利益も限定にする代わりに、コールを1枚売ったプレミアムを受け取っているため、最大損失額を縮小している点にあります。

C17000のプレミアムが160円で、C17250のプレミアムが50円なので、差し引き110円の支払いで済んでいます。

つまり無限の利益を狙うC17000では支払いが160円だったのに対して、有限の利益に甘んじる代わりに支払いが110円で収まっているということになります。

これが最大のメリットになります。

6.最大利益と最大損失

このとき最大利益は日経平均がSQで17250円を超えると、このデビットスプレッドからは権利行使価格の差分の250円を受け取ることが出来ます。

そしてデビットスプレッドを組成するのに支払ったコストは110円になりますので、差し引き140円の利益が見込めます。

最大損失110円に対して、最大利益が140円という戦略が組めるのです。

この状態で、勝率を5分5分より高くすれば、利益のほうが損失よりも上回ります。

もしテクニカル分析で6割くらいは相場の方向性が読めるとしたら、買った時に得られる利益の総額のほうが、負けた時の損失の総額より多くなるということです。

7.大数の法則に従うには

このような勝率を上げれば利益が残る戦い方を実現するには、大数の法則に従い、試行回数を増やす必要があります。

たまたま負の数が多くて勝率50%だったら、勝ち負けイーブンでお金は変わりません。

少なくとも100回位は繰り返しトレードすることで、テクニカル分析が6割当たれば60勝40敗、もしテクニカル分析で7割以上の勝率を出せる指標を知っているなら70勝30敗というように、テクニカル分析の精度と同じ数値に収斂していくことになります。

8.まとめ

デビットスプレッドは損失限定ポジションであり、無限の利益を放棄することで支払いコストを下げられる戦略です。

デビットスプレッドで勝つ時と負ける時の金額が5分5分となる組み合わせの場合は、テクニカル分析などで相場の方向性を当てられる技術があれば、勝率がその相場を当てる精度に従っていくことになります。

よって相場の方向が充てられる人や、優れたテクニカル分析の指標をお持ちの方は、損失額が小さく安心感があり、繰り返し組成できるポジションであるといえます。

デビットスプレッドは2つのポジションを瞬時に組むことがポイントも併せてお読みください。

 

 

 

 

※当ブログは筆者の個人的な見解を示すものにすぎません。掲載しているデータの収集とその分析についても、筆者の個人的な視点に基づく分析であり、その有効性を保証するものではありません。解説においては、筆者の独自の視点で学習目的のために事例を簡略化している場合があるため、資料の中で紹介される事例は実際の相場とは異なる場合があります。取引事例についても、完全に再現しているものではなく、かつ、その有効性を担保するものではありません。また、本資料に含まれる記述や情報については十分精査しておりますが、その内容に関して筆者は一切責任を負いません。

※当ブログは過去の市場分析と戦略案を検討するものでありますが、取り上げている投資戦略についてはシミュレーション上のものであり、確実にそのような結果が出ることを示すものではありません。また、相場状況によっては損失が出ていた可能性も十分にあり得ます。当該シミュレーション結果が解説の中で説明した戦略の優位性や利益を保証するものではありません。よって、その内容を将来に当てはめて利益が出ることを保証するものではありません。投資手法の有効性などにつきましては、読者の皆様において十分に内容をご精査いただき、商品の特性、取引の仕組み、リスクの存在、手数料等を十分にご理解いただいたうえで、ご自身の投資判断と責任でお取引いただくようお願いします。

※株式取引(米国株式)、オプション取引(米国株オプション取引)においては、株式相場、為替相場の変動等によって損失が生じるおそれがあります。お取引に際しては、あらかじめお取引先の金融商品取引業者等より交付される契約締結前交付書面等を十分にお読みいただき、商品の性質、取引の仕組み、リスクの存在、手数料等を十分に御理解いただいたうえで、御自身の判断と責任でお取引いただきますようお願い申し上げます。
 

関連記事

   オプション取引に関する無料メルマガを購読できます    登録はこちら
TOP
TOP