高騰したVI指数が20を割った時に仕掛けやすいカバードコール戦略とは

投稿者名:金森 雅人

8月に入ってから日経平均株価が急落して、日経平均VI指数も20を超えて上昇しました。

その後、8月のSQ日である8月9日になり、日経平均VI指数が20を割り込みました。

直近の日経平均VI指数の値動きをチャートで示します。

一番右にあるチャートが本日8月9日です。

ようやく20ポイントを割ったことが見て取れます。

今度の3連休が平穏に過ぎれば、さらにボラティリティは低下するでしょうか。

またはトランプ大統領の発言や米中の問題が再燃して、再びボラティリティが高騰してしまうでしょうか。

 

将来の予想は誰にもわかりませんが、ここでエントリーすると面白い戦略を紹介します。

東京証券取引所のyoutubeチャンネルでも取り上げていて北浜投資塾でも閲覧できる、カバードコール戦略です。

ボラティリティが高いオプションを売って減価を狙うカバードコール

日経平均VI指数は、20を平均として、20以上になるとリスクが高まった証拠、20以下になると市場参加者がリスクが低下したと感じてリスクを取り始める(=リスクオンする)と言われています。

絶対的指標ではありませんが、心理的の目安として20ポイントは意識されているものと思われます。

そこで、20ポイントを割り込んだときがリスクオンタイミングだと感じられるなら、まだボラティリティが高い状態のオプションを売って、高いプレミアムが減価するのを狙う戦略があります。

それがカバードコールです。

カバードコール戦略は

  • 本体は日経225ミニ10枚
  • 完全にヘッジしたコールオプションを1枚売る

組み合わせ戦略を言います。

本体はオプションにしないことがミソ

オプション取引に精通している方であれば、本体もコール買いオプションにして、買いオプション1枚&売りオプション1枚のコールデビットスプレッドにしたいところですが、今回のカバードコールはあえて本体を日経225ミニを採用します。

理由は、日経225ミニには市場が荒れてボラティリティた高くなることによるプレミアムの増大がありませんので、いくら市況が荒れていても、日経平均VI指数が上昇しても、本体価格は本質的価値だけしか持たないからです。

だから、ボラティリティが高くなっているコールオプションだけを売り、本体は日経平均株価に完全連動するミニを使うことでオプション売りのポジションを持つことができます。

このような戦略を採用することで、上昇したときには日経225ミニの上昇益を得られつつ、相場がもみ合った時にはコールオプションの減価により利益が出ます。

リスクオンした市況の場合は、市場参加者は強気であると考えれます。

その場合は、他の要因が起きて下落しない限りロング戦略を取ることでしょう。

したがってもみ合うか緩やかに上昇することが予想されます。

 

上昇は緩やかに上昇していくことが一般的です。(黒田バズーカや金融緩和政策などポジティブサプライズの場合を除く)

よって、値上がり益を積極的に狙うのではなく、オプションの売りによる時間価値の低下を利益に変えつつ、緩やかな上昇を狙う相場観を反映させるポジションが有効です。

それがカバードコール戦略です。

もっとも、カバードコール戦略であれば上昇方向にリスクはありません。

上昇益をコール売りで抑え込んで利益を最大限取れないという「取り損ない」が発生するのみなので、上昇したら嬉しいし、上昇しなくてももみ合ってくれれば時間経過で利益が出る。

そのような目論見で利用できる戦略です。

本体は逆指値注文でロスカット設定しておく

ただし本体は、オプションのような損失限定ではない日経225ミニです。

よって、必ず逆指値設定が必須です。

市場参加者が強気でリスクオンしたとはいえ、他のイベントや突発事件など別の要因が起きれば日経平均VI指数は吹きあがります。

20ポイントを低下していくのは、何も起きずに市場参加者がリスクオンして保険のプット買いを外すから日経平均VI指数も低下していく傾向にあります。

よって別な要因が発生したときには手仕舞いをする必要があります。

その別な要因で20ポイントを超えたのを確認したときがロスカットのサインではありますが、日経平均VI指数を見てロスカットし始めても遅いので、日経225ミニの逆指値注文で自動的にロスカットする設定をしておいたほうが安心でしょう。

リスクは日経225ミニの下落リスク

ただし、当然ですがリスクはあります。

必ず勝つわけではありませんし、このような戦略はエントリータイミングに淡々とトライして回数を重ねることで期待リターンに近づけるものです。

今回のタイミングが千載一遇のチャンスであるとはだれも分かりません。

事実2018年は5戦3勝で、2回は負けています。

動画で解説した5つの事例の結果を抜粋しました。

「VI指数が20を割り込んだ(あるいは20を超えなかった)タイミングでカバードコールを行うルール」にて検証した結果です。

4/13→4/23 +245,000円の利益 (もしSQの5/11まで保有していれば+465,000円の利益)

7/6→7/19 +360,000円の利益 (もしSQの8/10まで保有していれば+510,000円の利益)

8/14→8/27 +275,000円の利益 (もしSQの9/14まで保有していれば+440,000円の利益)

10/9→10/11 -210,000円でロスカット ※この後大幅な下落だが想定の-20万円程度でロスカットできた

12/3→12/4 -200,000円でロスカット ※この後大幅な下落だが想定の-20万円程度でロスカットできた

負けはあります。

ですが負ける金額をきちんと損失限定にしているので、東京証券取引所でもこのような下落リスクがある戦略を掲載しているのでしょう。

と言っても、このカバードコール戦略についてはリスクは日経225ミニの下落リスクのみで、コール売りを使いすることで全くリスクは増えてません。

取引所サイドは、オプション売り戦略はレベルが高くて使い方を間違えると危険なので勧めない傾向があります。

しかしこのカバードコールに関しては通常のオプション売り戦略と異なり、日経225ミニの上昇サイドの利益を固定しているにすぎないためリスクは全く増えていません。

日経225ミニロングポジションの下落リスクの他に、リスクは全く増えておらず、むしろミニの下落リスクを緩和するためにオプション売りのプレミアムを受け取っていると言えますので、低リスクになっていると解釈もできるでしょう。

日経225ミニは逆指値注文が効かないタイミングに注意

今回解説したように、カバードコール戦略はオプション売りのリスクはありません。

日経225ミニの下落リスクのみをケアすればよいのです。

その下落リスクがケアできないから、オプションで損失限定にするという案が生まれるのですが、今回の戦略では高いボラティリティのコール買いは避けたいので、なんとしても日経225ミニの下落リスクをケアしたいところです。

 

そこで動画では逆指値注文でロスカットしましょうとお伝えしています。

しかし逆指値注文にもリスクがあります。

意外と知られていませんが、逆指値は取引所が提供している発注方法ではなく、証券会社がサービスとして提供している約束事です。

取引所が提供してる注文は【指値注文】と【成り行き注文】です。

 

従って、逆指値注文は「〇〇円を下回ったら【指値注文】か【成り行き注文】する」だけに過ぎません。

ということは、以下の場合にはこの逆指値注文が発動しません。

  • 時間外や土日の取引所がクローズしている時間帯は機能しない
  • 急落で窓を開けると、逆指値の条件が成就しても指値注文では追い付かず、成り行きは大量の注文を飲み込むのでさらに値段が下がる=狙った価格で約定できない
  • サーキットブレーカーが発動する下落には対応不可(指値注文も成り行きも通らなければ機能しない)

このような懸念材料があります。

いずれも通常の相場では起こりませんので、95%以上が杞憂で終わるでしょう。

しかしながら、残り5%で起こる可能性に目をつぶって、逆指値注文をした時に限って急落が起きるものです。

また、金曜日にポジション調整をしないで「今回は何も起きないだろう」と迎えた土日にこそ、何か事件や事故が起きるものです。

このリスクを引き受けられるなら通常のミニの逆指値注文で取引をして構いませんが、リスクを徹底的に潰す(※この場合のリスクは下落による損失リスクよりは一発退場になる破たんリスク)ことを考えたいのならば他のロスカット方法を検討してみると良いでしょう。

まとめ

日経平均VI指数が20ポイントを割り込んだタイミングは、ボラティリティが低下しつつ市場参加者が相場の上昇方向にリスクを取ってプットオプション買いを外しているサインと見ることができれば、リスクオンしたと考えられる。

その場合には、コールデビットスプレッドよりも、本体をボラティリティの影響がない日経225ミニにして、コールオプションを売る組み合わせの「カバードコール戦略」を採用すると、リスクオン相場による相場の上昇を利益に変えられる可能性がある。

仮に相場が思惑通り上昇すれば利益が出るし、上昇は時間がかかるしもみ合うことが多いとしても、まだボラティリティが20ポイント近くと高めのコールを売っているので時間価値の低下によるオプションプレミアムからの利益を見込める。

このカバードコールは本体が損失限定ポジションではないので、確実にロスカットすることが必須。

もしカバードコールを行う場合は、ぜひカバードコールは権利落ちが考慮されているか確認することを忘れないようにしてください。

このロスカット設定について、逆指値では万が一に対応できない可能性が残されています。

わずか5%以下、実際は1%を割るようなイレギュラーな出来事で、自己資金を飛ばして退場してしまったら運が悪かったと諦められるなら放置して退場しても悔しくはないでしょう。

しかしわずか0.1%でもリスクが顕在化しているなら、そのリスクを事前に潰しておきたい人もいるでしょう。

投資で生き残っている人に共通するのは「まさか」が起きて退場するのではなく、その「まさか」にあらかじめ対処できる能力があるからでしょう。

そのような「潰せるリスクをきちんと潰してトレードしたい」という方のために、この逆指値を確実に、指定した価格で必ず約定することを保証した商品を使うことをお勧めします。

それがIG証券が提供している日本225ノックアウトオプションです。

IG証券のノックアウトオプションは、ノックアウト機能を追加した日経ミニと同じなので、ぜひ利用することを検討してみてください。

 

 

 

 

※当ブログは筆者の個人的な見解を示すものにすぎません。掲載しているデータの収集とその分析についても、筆者の個人的な視点に基づく分析であり、その有効性を保証するものではありません。解説においては、筆者の独自の視点で学習目的のために事例を簡略化している場合があるため、資料の中で紹介される事例は実際の相場とは異なる場合があります。取引事例についても、完全に再現しているものではなく、かつ、その有効性を担保するものではありません。また、本資料に含まれる記述や情報については十分精査しておりますが、その内容に関して筆者は一切責任を負いません。

※当ブログは過去の市場分析と戦略案を検討するものでありますが、取り上げている投資戦略についてはシミュレーション上のものであり、確実にそのような結果が出ることを示すものではありません。また、相場状況によっては損失が出ていた可能性も十分にあり得ます。当該シミュレーション結果が解説の中で説明した戦略の優位性や利益を保証するものではありません。よって、その内容を将来に当てはめて利益が出ることを保証するものではありません。投資手法の有効性などにつきましては、読者の皆様において十分に内容をご精査いただき、商品の特性、取引の仕組み、リスクの存在、手数料等を十分にご理解いただいたうえで、ご自身の投資判断と責任でお取引いただくようお願いします。

※株式取引(米国株式)、オプション取引(米国株オプション取引)においては、株式相場、為替相場の変動等によって損失が生じるおそれがあります。お取引に際しては、あらかじめお取引先の金融商品取引業者等より交付される契約締結前交付書面等を十分にお読みいただき、商品の性質、取引の仕組み、リスクの存在、手数料等を十分に御理解いただいたうえで、御自身の判断と責任でお取引いただきますようお願い申し上げます。
 

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