デビットスプレッドに維持証拠金が掛かる理由を分析する方法

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あなたはデビットスプレッドの証拠金シミュレーションをしたときに、証拠金不要のデビットスプレッドのはずが、証拠金が必要と算出されて「ドキッ」としたことはありませんか?

9/2(日)の18時ころにSBI証券のSPANシミュレータでデビットスプレッドの証拠金計算をしてみたところ、29,900円を要求されてしまいました。

デビットスプレッドに証拠金は不要です。

よって、損失限定のデビットスプレッド戦略を建てて29,900円を証拠金として要求されることはありません。

では、なぜ証拠金シミュレーターでは証拠金を要求されてしまうのか、シミュレーターを使う際の注意点をお伝えします。

シミュレーターのクセを知っておくことで、正しい証拠金を把握することができるので、ポジションを建てるのに不安が無くなりますよ。

シミュレーターのクセとは、SPAN判定価格と現在値のズレ

シミュレーションを行った相場状況を確認します。

まず、8/31(金)の大引けの価格はオプション料がそれぞれC22875が215円、C23000が155円でした。

証拠金シミュレーションをした9/2の価格は、8/31(金)の夜間の終値でC22875が160円、C23000が130円でした。

Net Option Valueに着目する

SBI証券のシミュレーション画面に採用されている「Net Option Value」に着目してみましょう。

8/31(金)の大引け時点でデビットスプレッドを組んだ場合のNet Option Valueは、215円を支払って155円を受け取るので、差し引き60円です。

Net Option Valueとは簡単に言うと「時価」の合計です。

日経225オプションでは実際の価格は1000倍で表しますので、Net Option Valueは60,000円です。

続いて、9/2時点のNet Option Valueを計算してみましょう。

当時の現値はC22875が160円、C23000が130円なので、Net Option Valueは30円、つまり30,000円です。

ここでシミュレーション画面を再度見てみると、8/31(金)大引けの値ではなく、9/2にシミュレーションをした時のリアルタイムの値でNet Option Valueが計算されているのではないかという推測が立ちます。

このシミュレーターには建値を入力する項目がなく、Net Option Valueが30,000円にしかなっていないということは、SBI証券では現値の時価で計算していることが分かります。

当社SPAN証拠金は終値ベースで算出されている

次いで、当社SPAN証拠金について考えてみましょう。

SBI証券では、Net Option Valueは現在のオプション料を参照していることが分かりました。

SPAN証拠金についても現在のオプション料に基づいて計算すれば、SPAN証拠金全てをNet Option Valueが補っているために証拠金は不要のはずです。

しかし、上記の結果はNet Option Valueが少ないために維持証拠金を要求されています。

ここで、証拠金制度とは、損失が限定されていないポジションを保有した際に最大ドローダウンの額を保証金として預ける制度です。

だから、損失限定のデビットスプレッドを組んだ場合は最大損失額が支払額に限定されているので証拠金は要求されることはありません。

ですがこのような結果になっているというのは、このSBI証拠金シミュレーターが、

損失限定のデビットスプレッドを組んだがNet Option Valueが少なくなったために当社SPAN証拠金を下回っている。よって下回った分の証拠金を差し出しなさい

という結果を示しています。

維持証拠金の充足判定は値洗い後に判定

証拠金の判定は15:15の大引け時点の値洗いの結果で決まります。この時点で証拠金が足りていなければ追証です。

そして、デビットスプレッドの証拠金は、期中ではなく大引け時点で最終的な証拠金の額が決まります。

つまり上記の画像のような9/2(日)時点のシミュレーションは、正しい数値ではあるものの大引け時には大引け価格で証拠金を計算しなおすため、8/31(金)のSPAN証拠金は、あくまで概算にすぎません。

例えば翌日にC22875が130円、C23000が87円となったらSPAN証拠金はどう変化するでしょうか。

この時のSPAN証拠金は130円-87円=43円、つまり43,000円です。

その時のデビットスプレッドのNet Option Valueは130円-87円=43円、こちらも同じく43,000円です。

つまり、デビットスプレッドは、Net Option ValueとSPAN証拠金が全く同額となります。

この値がSBI証券でこの2つの値が異なっている理由は、SPAN証拠金を算出するオプション料と、現値のオプション料が異なるためです。

楽天証券では大引けの値を採用

楽天証券でも証拠金シミュレーションができます。こちらも、建値を記入するところがありませんので、いつのタイミングで価格を算出しているか事前に把握しておく必要があります。

楽天証券の場合は大引けの値を採用しています。

デビットスプレッドが証拠金不要で組める理由とはで楽天証券の証拠金シミュレーション画面を見て分かるように、デビットスプレッドは「SPAN証拠金」と「ネット・オプション価値の総額」がほぼ同一価格です。

楽天証券では大引けの値を採用しているため、デビットスプレッドを組成して維持証拠金が発生することは起こりません。

このように、シミュレーターによって、大引けの値を採用しているか現在値を採用しているかで結果が異なります。

実際のポジションは証拠金不要で組める

シミュレーターで表示されていても、実際にポジションを組むと証拠金は要求されません。

今回のデビットスプレッド戦略は損失限定なので証拠金不要であることには変わりがないからです。

この事実をきちんと把握していれば、今回の表示のように証拠金を要求された場合に、何が誤りで何が正しいのかを正確にとらえることができます。

シミュレーターに誤りは無い

SBI証券のシミュレータが事実に即していないかというと、そうではありません。

デビットスプレッドで資金を1/3に抑える発注順番とは?でキャプチャした画像は、16:05にキャプチャした結果です。

大引け(15:00)から夜間取引のスタート(16:30)までの間にシミュレーションしたため、大引け値=現在値のシミュレーション結果で楽天証券の結果と同一となります。

このように、大引け値と現在値が同一の時には、SPAN証拠金とNet Option Valueが一致するために維持証拠金の要求はありません。

つまり楽天証券のシミュレーターはいつでも大引け値でシミュレーションするのに対して、SBI証券のシミュレーターはリアルタイムで算出している、という違いです。

リアルタイムの現在値を反映させて証拠金をシミュレーションしたい場合、今回取り上げたSBI証券のシミュレーターはとても役に立ち、ポジションをこれから追加する場合や、建てているポジションを決済したら証拠金はどの程度上昇するかというシミュレーションをするのに重宝します。

下図のシミュレーション結果は、デビットスプレッドを組成した後に売り玉だけ決済しようとしたときの証拠金の推移です。

デビットスプレッドは損失限定で証拠金不要な取引ですが、売りポジションを返済するときには、一時的に129,900円の委託証拠金が必要です。

委託証拠金とは、口座に預けておく証拠金額です。

よってデビットスプレッドを組んだ後に他のポジションに証拠金を使ってしまったり、一時的に資金を非難させた場合にはこのデビットスプレッドを解消することができないことを意味します。

もしデビットスプレッドを手じまいする場合には、口座に129,900円以上の証拠金を預けたうえで、売り玉を決済して、そのあとに買い玉を決済すればポジションをクローズできます。

ただし、流動性が高いアウトオブザマネーの売り玉から決済するということは、最後に残る買い玉の決済が流動性の問題から決済しにくくなる可能性があるので、期中で反対売買をするのは避けたほうが良いでしょう。

まとめ

シミュレーターによって、使用する現値がいつの価格なのか確認するようにしましょう。

SBI証券は現値はリアルタイムのオプション料を用いており、楽天証券は大引け値を用いています。

SBI証券でSPAN証拠金とNet Option Valueの差によって維持証拠金が増えるように見えるのは、現値をリアルタイムで用いているためです。

しかしデビットスプレッドなら、損失限定のために維持証拠金はかかりませんので、このシミュレーターの値が求めている数値と異なることを見分けることができます。

シミュレーターは、前提条件を正しくセットすれば、正常な値を返してくれます。

ぜひこの記事を見て、ほかの証券会社のツールの特徴を見極められるようになり、証拠金について強くなりましょう。

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