プットコールパリティ活用法をオプション価格表で視覚化する方法

投稿者名:金森 雅人

現在の先物価格が23,400円とします。

この時のオプション価格評価は下記の通りでした。

(松井証券のネットストックスマート画面を引用)

この2つを使ってカンタンにプットコールパリティを説明したいと思います。

プットコールパリティは【本質的価値+時間価値】

プットコールパリティとは、定義上は コール買い+プット売り=先物ミニ10枚買い と表現されます。

式としてはなかなか覚えにくいかもしれませんが、上記のプライスボードを見ると簡単に原理が理解できます。

C23000をプットコールパリティで計算する

C23000をプットコールパリティで計算するには、本質的価値と時間価値が分かれば求められます。

本質的価値は原資産価格の23,400円に対して権利行使価格が2,3000円のため、400円の差があります。

それに加えてプットのプレミアムが260円あります。

よって400+260=660円がP23000の適正価格だ、ということが分かります。

C22750をプットコールパリティで計算する

例えばC22750@705について考えてみましょう。

同様に考えると、原資産価格の23,400円に対して、権利行使価格は22,750円と差が650円あります。

そしてP22750は200円の価格が付いています。

ということは、650円の本質的価値を持ち、200円の時間的価値を持っているので、C22750は705円ではなく850円が本来つくべき価格です。

C22875が740円なのに、C22750がそれより低い価格というのは考えられませんので、こうやってプットコールパリティを使えばすぐに算出できます。

P23875をプットコールパリティで計算する

今度はプット側を見てみましょう。

原資産価格と権利行使価格の差は23,400円から23,875円なので475円の差があります。

そしてC23875のプレミアムを見ると、200円の価値が付いています。

よって、P23875の適正価格は475+200=675円であることが分かります。

このように、プットコールパリティで求めたい価格を計算するには、原資産価格と権利行使価格の距離=本質的価値と、その時の時間価値が分かれば求められます。

プットとコールの同じ権利行使価格のインプライドボラティリティが一定となる

この現象は、プットとコールの同じ権利行使価格のインプライドボラティリティ(IV)は一緒になることを利用しています。

求めたいディープインザマネーの価格が分からないときは、原資産からの距離と、プットとコールのアウトオブザマネーの価格を用いれば、このように計算することが出来ます。

コールもプットも、同じ権利行使価格なら、同じ時間価値を持っています。

それを示しているのがインプライドボラティリティです。

インプライドボラティリティが一緒ということは、同じ時間価値があることを意味しますので、例えば上図のC22750のIVは10.53と、プット側に対して大きく乖離しています。

この点からも、コールのディープインザマネーの価格が正しくあらわされていないことが分かります。

プットコールパリティを敢えてしない選択

今、P23375買 @425を1枚持っているとします。相場が23,000円まで下がったので損益を固定したいとします。

この時プットコールパリティーの考えを使って合成ポジションを作り損益を固定できます。

即ち、23,000でminiを10枚買い、P23,375を売って合成のプット売を作るという事です。

このポジションを作った場合、急落でP23375がデルタ0.5だとするとおよそ375円×0.5=187円ほど増えるので、プレミアムは490になったとします。

この490円を固定させるのがプットコールパリティで、建てた金額の300円を差し引いた190円の利益を固定できます。

この場合は、375円が本質価値のため、反対側のC23375は490-375=115円となっているはずです。

これがプットコールパリティの考え方です。

応用してコールで蓋をしない場合

考え方としては、P23375買 @425を1枚持っていて、相場が23,000円に下がったところでminiを10枚買い、もしC23375売を持たなかった場合、プットコールパリティーで固定するのとは何が違うと思いますか?

23,000円でmini買を10枚持つと、それ以下に下がった場合はプット買、mini買が相殺し合うので損益に影響を及ぼしません。

そして23,000以上23,375まではmini買が利益を出すので、P23375の利益が低減する分をminiが補います。

23,375以上になった場合、P23375は無価値ですが、mini買は利益を出し続けます。

という事は、プットコールパリティーで利益を完全に固定してしまうより、単純にmini買を持った方が有利という事でしょうか。

相場上昇の可能性を残す分、こちらの方が有利なのでしょうか。

もう少し深く考えてみると、プットコールパリティーでC23375を売る場合、プレミアムの受け取りがあるのでその分有利という事が出来るかもしれません。

もしC23375のプレミアムが115の場合、115円受け取って375円の利益も確保出来るので、やはりこちらの方が有利なのでしょうか。

 

実は、C23375を売るというのは、その時のP23375の時間価値の分を売っています。

固定するのは490円で固定しますが、もしP23375に時間価値が残っている場合には、C23375を売ることで回収できます。

よってどちらが有利ということはありません。

 

もし前者のC23375を売らなかったときの損益グラフを描くと、C23375を買った時の損益グラフとなります。
(保有している先物ロング+プット買い→コール買いなので)

なので、115円もプレミアムがついていたら、115円を受け取らずに(この場合はパリティで115円受け取れるはずの状態だけどあえて受け取らずに)コール買い戦略を取るか、それとも115円を先に受け取って損益固定するかの選択です。

490円の価値を固定するためにはP23375は時間価値が115円ついているので、このプレミアムを受け取らずにコール買いのリスクを取るか、損益を固定してしまいSQまで通過させる方法を取るかの選択の違いです。

もしプットコールパリティで損益を固定した場合には、Prizeで表現するとこのようにフラットな直線となります。

これをパリティで固定してC23375の490円の受け取りを確定させれば、P23375を115円で売って先物ミニを10枚ロングすることで損益を固定できます。

C23375の115円のプレミアムは利益として確定できています。

この価格で固定するのが良いのか、反対に上昇することを期待してコールを売らずに115円をもらわないかのどちらかの選択になります。

 

もしコールを売らずにそのまま保有した場合には、コール買いの損益グラフが残るので、相場が反転して上昇すればコール買いの分のプレミアムを狙うことが出来ます。

ただしそれは115円のコールをC23375で買っているのと同じなので、そこに優位性があるかどうかは分かりません。

今後の相場観次第によってはコールを売らないほうが良い場合もあれば、損益を固定するためにきちんとC23375を売って時間的価値を受け取ったほうが良いかもしれません。

 

よって、言い換えるとプットコールパリティーの場合、利幅の上限は415円(買コストが425円とすれば権利行使価格と原資産の差の300円+C23375コール売りの115円を足した415円)。

これに対しmini買だけの場合、相場が23,475円以上になればプットコールパリティーで固定した以上の利益を得る可能性を持つ。

しかし相場が上昇し続ける保証はどこにもないので、どちらの戦略を取るかは個人の考え方による、ということになります。

まとめ

プットコールパリティは

コール買い + プット売り =先物ミニ10枚買い

の式が成り立つので、オプションのプライスボードを見て原資産価格と権利行使価格の差、および求めたいコールかプットの同じ権利行使価格にあるアウトオブザマネーのオプションを足すことで算出ができます。

プット買いでディープインザマネーになってしまいコールを売るかどうかですが、コールを売れば完璧なプットコールパリティが完成して損益は固定されますが、仮にコールを売らない場合には、時間価値を放棄してコール買い戦略を保有することになります。

どちらが良いか判断はできませんが、各々これからの相場観を見ながら(およびついているプレミアムの大きさを見ながら)コールを売るかどうか考えてみてはいかがでしょうか。

 

プットコールパリティについてはプットコールパリティをわずか1分で頭に描く方法もありますので是非ご覧ください。

 

 

 

 

※当ブログは筆者の個人的な見解を示すものにすぎません。掲載しているデータの収集とその分析についても、筆者の個人的な視点に基づく分析であり、その有効性を保証するものではありません。解説においては、筆者の独自の視点で学習目的のために事例を簡略化している場合があるため、資料の中で紹介される事例は実際の相場とは異なる場合があります。取引事例についても、完全に再現しているものではなく、かつ、その有効性を担保するものではありません。また、本資料に含まれる記述や情報については十分精査しておりますが、その内容に関して筆者は一切責任を負いません。

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