「かぶオプ」は初心者向けのオプション戦略と言える理由

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あなたは、オプション取引の戦略にレベルがあることをご存知ですか?

アメリカの証券会社では、すでに戦略レベルに応じた口座開設を行っており、投資家保護と教育が充実しています。

日本で最もオプション取引の入門戦略である「かぶオプ」のカバードコールと、ターゲットバイイングは、アメリカのオプション取引レベルの中でも低い部類に入る入門戦略です。

この記事ではアメリカの代表的な証券会社がどのようにオプション戦略をレベル分けしているのかを解説します。

すでにオプション先進国のアメリカでは明確なレベル分けを提示して、投資家がどのレベルにいるかをわかりやすくしているので、ぜひ日本の証券会社もこのようなレベル分けを行って、むちゃな投資をしないように啓蒙&投資家保護を期待したいんですね。

オプション取引の戦略レベル

昨日はJPX(日本取引所)主催の証券会社の勉強会の中の意見交換会に参加してきました。

参加した証券会社だけで、市場の9割近くの投資家を顧客として抱えている、最も個人投資家に近い担当者が集う勉強会のようです。

その中で私は個人投資家代表として、個人投資家目線で提言を行ってきました。

その勉強会の中で、取引所からはアメリカの証券会社が行っている取り組みとして、オプション取引を戦略ごとにレベル分けをして、レベルに合わせて口座開設基準を設けてむちゃな取引ができないような仕組みを構築しているという話がありました。

日本ではオプションは売り玉制限を行うことで投資家を横並びで制限されています。

しかし、アメリカの証券会社では戦略で分類していて、戦略を組みたい人はそれ相当のスキルがあることを証明して戦略を組むことができる仕組みのようです。

その勉強会で学んだ内容を踏まえて、私も独自に調査をしてアメリカの証券会社のレベル分けについて整理しました。

Charles Schwab

Charles Schwabという証券会社のレベル分けです。

Level0

Covered Calls
Covered Puts
Buy-Writes
Unwinds
Covered Roll outs

Level1

All of Level 0 plus:
Long Calls
Long Puts
Long Straddles
Long Combinations
Long Strangles
Cash Secured Equity Puts (CSEP)

Level2

All of Level 1 Plus:
Spreads
Diagonal Call Spreads
Diagonal Put Spreads
Ratio Spreads (long side heavy)

Level3

All of Level 2 Plus:
Uncovered Calls
Uncovered Puts
Uncovered Roll-outs
Short Straddles
Short Combinations
Short Strangles
Uncovered Ratio Spreads

(引用: http://help.sspro.schwab.com/4.18/HELPFILE.htm#Option_Approval_Levels.htm)

レベル0、つまり最も初心者向けにカバードコール戦略を配置していることが分かります。

ロングポジションのコールとプットはレベル1です。

つまり単純なオプション買い戦略よりも、カバードコールのほうが難易度が易しいとこの証券会社では考えています。

E-trade

Level1

Covered Call

Level2

Long Call
Long Put
Married Put
Protective Put
Collar
Cash Secured Short Put
Straddle
Strangle

Level3

Bull Call Spread
Bear Put Spread
Long Butterfly
Short Butterfly
Long Iron Butterfly
Short Iron Butterfly
Long Condor
Short Condor
Long Iron Condor
Short Iron Condor

Level4

高度なオプション戦略
Index Options

(引用: https://us.etrade.com/investing-trading/investment-choices/options-oaa/options-levels)

E-trade証券でもカバードコール戦略が最も易しいオプション戦略です。

サイトを見るとレベル4の「高度なオプション戦略」というくくりがされていて具体事例がありませんが、Level3よりも難易度が高いオプション取引を指しているものと思われます。

Charles Schwabと比較してみると、レベル3(難易度3段階目)にスプレッド取引が来ていることが分かります。

デビットスプレッド戦略は、難易度が3番目に高い戦略として位置づけられています。

投資情報サイト Investorplace

では証券会社ではなく、投資情報サイトのInvestorplaceのレベル分けを見てみましょう。

Level 1

Covered Call,
Long Protective Puts
Long Stock & (-c)

Level 2

Long call/put (+c) / (+p)

Level 3

Spreads {(+c) & (-c)}
{(+p) & (-p)}

Level 4

Uncovered or Naked (-c) / (-p)

(引用: https://investorplace.com/2009/03/option-approval-levels-explained/)

このように、証券会社ではなく投資情報を掲載しているサイトでも、同様のレベル分けを発見することができました。

ほとんど証券会社と同じレベル感で掲載されています。

かぶオプの代表戦略カバードコールはレベル1

最も初心者向きな戦略としてレベル1で挙げているのが、かぶオプ戦略の代表戦略であるカバードコールです。

カバードコールは、ソニー株のかぶオプを使って利益を2倍にした取引手法でも書いたように、追加のリスクはありません。

そして現株を買う資金をもって、株オプションのプット売りをするターゲットバイイングでも、レベル2までです。

指値に対して発注方法の違いだけで、追加のリスクがほとんどないからです。

上記の証券会社のレベル分け戦略で「Cash Secured Short Put」と書かれた戦略が、いわゆるターゲットバイイング戦略です。

つまりかぶオプの戦略は、レベル1および2の、極めて初心者向けの戦略です。

このように戦略ごとにレベルを分けて、人によってどの取引までできるか決めているのがアメリカの証券会社の特徴です。

日本の証券会社では、投資家の資金量やリスクの許容度によって制限を掛けようとしているあまり、安全な戦略も合わせて規制してしまっているのが現状です。

売り玉制限は危険な投資行為を防止できる一方で、上記のような安全性の高い(リスクの低い)投資までも規制してしまうので、オプション普及が進まない要因ではないかと思います。

最高難易度の取引が、「裸のオプション売り」

どのサイトでも共通して取り上げているのが、裸のオプション売りは高難易度だという点です。

レベル3ではロング系の戦略を挙げていて、ショート系の戦略および裸のオプション売りがレベル4です。

この戦略レベルを、投資家の資質に応じて許容するかどうかを分けているのは、さすがオプション先進国のアメリカです。

きれいに分類していますし本質をついていると感心しました。

投資リテラシーの向上とは別にかぶオプが存在する

先日参加した証券会社の方も言っていましたが、個人投資家の扱う商品は下記の順序で徐々に投資リテラシーが向上すると言っていました。

投資信託



FX

先物

オプション

この矢印の順に投資を学んでいくのは、指数先物売買と裸のオプション売りを身に付けるのには適していますが、かぶオプを取引するフローとしては最適ではありません。

かぶオプは下記のようなフローだと私は考えています。

投資信託

株 →かぶオプ(有価証券オプション)

FX

先物

指数オプション

つまりかぶオプはデリバティブに行く前に使うことができる、株を長期で資産運用するためのサポート商品というわけです。

指数オプションは日経225オプション、有価証券オプションは現物株を受け渡しする個別株のオプションです。

この両者はリスクの取り方、リスクをコントロールするルールに大きな違いがあります。

アメリカの証券会社が採用しているレベル感の通り、かぶオプは安全性が高く

業界統一ルールを策定している The Options Industrial Council

これらのルールは、おそらく証券会社が個別に策定しているというよりも、証券会社と取引所が共同で設立したThe Options Industrial Councilが旗振りをして整備しているものと思われます。

このような協会が統一ルールを策定することで、投資家保護はもちろんのこと、証券会社も危ない取引をさせない仕組みが構築されているので、業界全体として投資家のレベルにあった取引を提供できているものと思われます。

このような業界統一ルールができれば、現在の日本のような売り玉で一律制限を掛けるようなことはしなくて済みます。

安全な戦略は誰でも利用出来て、スプレッド取引やリスクが高い戦略は相応の知識や経験を持った投資家にだけ開放する。

このような仕組みが出来上がれば、株式投資家の誰もがかぶオプを使って株式投資を長く続けることができます。

特に株を塩漬けして何年も放置している投資家がいる場合は、証券会社は手数料収入をもらうことができません。

その点、かぶオプを使えばオプション取引は株のリスクの範疇で行えるので、証券会社は手数料が入って、さらに投資家もオプションプレミアムを受け取れるので株を塩漬けにしている感覚にならないでしょう。

かぶオプのメリットは「お得に株を買う」

シンプレックスインスティテュートの安藤さんがかぶオプについて話をしていましたが

「ちょっとお得に株を安く買う」
「ちょっとお得に株を高く売る」

これができるのがかぶオプですよ、というフレーズがありました。

リスクコントロールするためにギリシャ文字を学び、いかに最大収益を狙うかを研究する日経225オプション取引が日本ではメジャーですが、「ちょっとお得に」取引できるのがかぶオプの魅力です。

まとめ

ちょっとお得に株取引をするためのツールがかぶオプであり、株式投資のリスクを引き受けているなら追加でリスクが増えることはありません。

その事実を的確に表しているのがアメリカの証券会社のレベル分けです。

この記事で紹介したOIC(The Options Industrial Council)のような機関は残念ながら日本ではまだ設立されていませんが、オプションが広がれば必ずアメリカの事例を参考に同様の機関が設立されると思います。

むしろこの機関を先に設立して、投資家保護ならびに証券会社が安心して投資家へサービスを提供するための土壌を整備してもらいたいものです。

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