
アメリカ株オプションを利用したメンテナンスフリー(ほったらかし)の投資を実現するのがLEAPS戦略です。
今回の事例はカバードコールとしてコールオプションを売ったものの、満期に権利が消滅したために再度カバードコールを組んだ事例を紹介します。
まだ最終的に投資が終わってはいませんが、11月に11ドルを超えていれば、年利23.4%となる見込みです。
取引事例
2016年9月の相場は下記のとおりです。11.7ドル付近にいました。
11ドルは割ることが無さそうに見えます。
実際に、過去のチャートを振り返っても安値圏にいることが見て取れます。
<2年分の過去のチャート>
このような状況で、LEAPS戦略を取る場合に、11ドルのプットが良さそうに思えます。
プットオプション売り
2016年9月17日にプットオプションを売りました。満期は11月20日であり権利行使価格が11ドルである「AES 20NOV15 11.0 P」です。
売り建てた時のプレミアムは0.56ドルとなっていました。
このプットオプションを売った時点で、0.56ドル(実際は100倍した56ドル)を受け取っています。
プット売り時の証拠金
プットを売るときに必要な証拠金はIB証券の発注前プレビュー画面で見ることが出来ます。
当時のプレビュー画面を保存していなかったため現在の価格に置き換えて見ると、およそ310ドルでした。
直後に13%超の下落
ですが、売った直後から下落が始まり、満期日には11ドルを大きく下回りました。
現在の株価は10.89ドルとなっていますが、それまでに株価が下落した時期もありました。
プットを売った翌日の2016年9月18日から下落が始まり、その後回復していることがわかります。
陰線が連続し、9.5ドルまで低下しました。実に13%近く下落したことになります。
しかしいくら株価が下落しても満期の11月20日まで何もすることはありません。
満期になり株を保有
満期の11月20日に、プットオプションが割り当てとなりAES株を100株保有することとなりました。
額面は11ドルの株です。当時の株価が9.67ドルだったので、-1.33ドル(実際は133ドル)の含み損の状態です。
しかし実際はプット売りによる受け取りプレミアムがあるので、約定代金から0.56ドルが差し引かれますが、差し引かれたステートメントが見えるのは現物株を決済した時になります。
現時点では額面の11ドルで購入したことになっています。
現物株保有時の必要証拠金
今回の事例では割り当てがあり現物株に変わったので、本来であれば満額の11ドル分(×100倍の1100ドル分)を用意することとなります。
しかしながらIB証券では半分の資金で良いため、550ドルあれば株式を保有できます。
カバードコール
現物株を持っているので、カバードコールをします。コールオプションは5月20日満期の権利行使価格11ドル、「AES 20MAY16 11.0 C」になります。
このときは現物株の価格が9.67ドルまで落ち込んでいたので、権利行使価格11ドルのコールオプションのプレミアムは非常に安くなっていました。
5月20日のオプションで0.25ドルで売りました。
カバードコールに必要な追加資金
カバードコールにおいては、資金を追加する必要はありません。
株が0ドルになるリスクを取っているので、利食いの効果があるカバードコールは追加で証拠金を要求されることがないからです。
実際にIB証券での発注前プレビュー画面を見るとコールオプションの受け取りプレミアムによって保有資産が増加していて、ほぼ増加分の証拠金のみを要求されています。(図は2016年5月23日のものです)
5月20日までほったらかし
コールの満期の5月20日まで何もすることはありません。
最も安くなったのは1月15日のおよそ8.5ドルであり、その後11ドル付近まで回復していますが、特に調整することもありません。
5月20日に権利消滅
満期である5月20日に、AES 20MAY16 11.0 Cが満期を迎えて、権利消滅しました。これで0.25ドル(100倍するので25ドル)は利益として確定です。
ですがまだ現物株は残っているので、引き続きカバードコールを実行します。
再度カバードコール
この銘柄は残念ながらLEAPSと呼ばれる9ヶ月以上の残存日数が残っているオプションが取引できません。
画像(寄り付き前の状態)の通り、16年11月18日が一番遠い満期となります。
ここで再度権利行使価格11ドルのコールを売ります。実際には0.70ドルで売ることが出来ました。
カバードコールに必要な資金
今回もカバードコールであり、追加で必要となる資金は要りません。
利回り計算
利回りはリターン÷今回必要となった資金となり、利回りを計算すると156ドル÷550ドル=27.4%となります。
この投資期間は2015年9月から2016年11月までの14ヶ月となりますので、年利に換算すると27.4%÷14×12=23.4%となります。
この利回りはカバードコールが割り当てになった時の想定であり、株価が下落した場合にはこの限りではありません。
以下に分子と分母の計算を示します。
分子:リターン
まだ正確には算出できませんが、仮に今回売ったC11が株に割り当てられて現物株と相殺された場合は、受け取りプレミアムの合計が利益となります。
0.56ドル+0.25ドル+0.70ドル=1.51ドル(×100=151ドル)
分母:必要資金
分母である必要資金は、(1)プット売り時の証拠金と、(2)現物株保有時の証拠金の2場面があり、それぞれ310ドルと550ドルなので、必要資金は550ドルということがわかります。
AESコーポレーションとは
日本には馴染みのない会社かもしれませんが、世界的に電力で有名な企業です。
S&P採用銘柄でもあります。
AESコーポレーション(The AES Corporation)はフォーチュン200に含まれる世界的な電力会社です。
配電事業や熱、再生可能エネルギーなどの発電施設を多数所有し、28カ国以上に低コストで持続可能なエネルギーを供給しています。
2万人以上の従業員がおり、変化する世界の電力需要への対応に注力しています。
2010年の売上高は170億ドルで、410億ドルの総資産を保有しています。
引用:アメリカ株ドットコム
まとめ
AESというS&P500採用銘柄を用いてLEAPS戦略を取ることで、相場を常に見ること無く利回り23.4%(※想定)見込める投資ができ、その期間中は株価チャートを見なくても全く不安にならなかった。
(ただし本銘柄は満期が9ヶ月以上先の純然なLEAPS銘柄はありませんが、LEAPSを用いた戦略と同じ取引フローを行っています)