プットデビットスプレッドが暴落後の2番底狙いに適している理由

投稿者名:金森 雅人

あなたがもし下落相場に遭遇したあとに、今後起こるであろう2番底を利益に狙いたいと思った時には、プットを買うよりも、オプションを組み合わせたプットデビットスプレッドにしたほうが勝ちやすい事をご存知ですか?

なぜデビットスプレッドにするとプット買い戦略よりも勝ちやすいのか解説します。

【目次】

1.株のカラ売りよりもプット買いが安全な理由

2.プット買いの問題点

3.プットデビットスプレッドなら暴落時にでも戦える理由

4.高いオプション料を買っても高いオプション料を売る

5.まとめ

 

1.株のカラ売りよりもプット買いが安全な理由

あなたがもし相場暴落後に、2番底狙いで株をカラ売りして、思惑通り大底まで下落して大きな利益を得た経験があれば、きっと無限の損失リスクを抱えて、内心はヒヤヒヤしながら下落相場で利益をあげられたのではないでしょうか。

株のカラ売りは、もし万が一反転して暴騰したときに大きな損失を被るリスクを引き受けているので、ハイリスクを抱えて当たれば大きいハイリターンを得られるる投資手法です。

株のカラ売りの恐ろしさ

例えば日経平均が22,000円の時に先物をカラ売りすれば、100円下落するごとに10万円の利益が手に入ります。

下落すればするほど利益が増えますので、もし1000円も下落する相場を当てる事が出来れば、100万円の利益を手にすることも夢ではありません。

しかし、逆行すると損失はダイレクトに影響します。

先物をカラ売りして100円上昇したら、10万円の損失です。

大暴騰して1000も上昇したら、一気に100万円の損失を計上することになります。

株の空売りは怖いです。空売りをして相場が上昇すると上昇分だけ損失が増えます。

このように上がるか下がるかの方向性に強い自信が無ければ、先物をカラ売りすることは勇気が要ります。

そこで、無限の損失リスクを引き受けたくない投資家のための手段が、オプションです。

プットオプション買いなら損失限定取引が可能

オプション買い戦略なら、最初に支払ったオプション料以上には損失が膨らまないため、損失限定で安全です。

下落方向を利益に変えるにはプットオプションを買います。

プットオプションを買うことで損失限定のカラ売りと同じような効果を得らえます。

損失額は買ったオプション料に限定されるので、相場観が強くなくても、自分の資金量の範囲でポジションを取れるメリットがあります。

このオプションの特徴である、カラ売りを損失限定で行うことができる性質を活かすことで、大きな損失を被るリスクを限定したうえで満足のいく利益が上げられるのであれば、株のカラ売りよりもプットオプション買いのほうがずっと優れていると思えるかもしれません。

株とオプションの決定的な違いは暴落幅と利益の関係

株では、暴落後の2番底を狙う作戦はリスクを引き受ける覚悟があるなら、ハイリターンを狙える戦略です。

もし下落幅が大きければ、その下落幅の分だけ利益が積み増せるので、暴落した直後でも、暴落直前でも、利益の額は暴落の幅だけに単純比例するからです。

ところが、オプションの場合は、下落幅に単純比例するわけではありません。

そこには買うときに支払うオプション料が関係します。

2.プット買いの問題点

株式投資の2番底狙いは当たれば有効外れれば大損というハイリスクハイリターンな投資である一方、オプションで同じように2番底狙いでプットオプションを買っても、損失限定効果のうまみだけを切り出して満足のいく利益を上げらるとは限りません。

その理由は、損失限定というリスク軽減策を講じたために、リターンも減ってしまうからです。

2018年2月の下落相場で、プットのオプション料を比較してみましょう。

下記の表は、オプション料の一覧を示しています。

赤く囲んだところが、プットオプションの価格です。

日経平均株価が22,665円の時に、いちばん権利行使価格が近いPUT22,625を買う場合は、200円のオプション料が必要でした。

次に、翌日のオプション料を見てみましょう。

翌日は前日から―1,150円も下落しました。

前日と同様に、一番日経平均株価に近いプットオプションを見てみると、PUT21,500が400円でした。

なんとオプション料が倍に膨らんでいます。

相場が下落する危険が高まるとプットオプションが割高になる

このように、相場が急落した後にプットを買うと、割高です。

その理由は、暴落した直後は「2番目が来るかもしれないので危ない」と思う人がいて、プットオプションが買われるからです。

当初の目論見だった2番底狙いの相場観に対して対処している人がいるということです。

プットオプションは保険として活用されるので、保険料が高くなったというわけです。

プット買いが不利になるのは相場下落を参加者が予測したから

株式投資は下落幅をダイレクトに利益に変えられる反面、上昇するとダイレクトに損失を被りますのでハイリスクハイリターンです。

だからプットオプションを買って損失限定にして、下落を利益に変えようと思っても、株式投資と違い暴落後に高くなったプットオプションを買ってしまうと、思惑通り2番底がやってきたとしても、オプション料が高すぎるためにその高いオプション料を回収するほどの暴落が来なければ負けてしまいます。

プットのオプション料が高くなりすぎることが原因です。

もしオプション料が安い時にプットオプションを買おうと思ったら、だれも暴落が来ないと思っているとき、すなわち暴落が来る前にあらかじめ先回りしてプットオプションを買わなければいけません。

もし暴落後にプットオプションを買った場合には、利益を上げるためには暴落前の下落予測よりももっと大きな幅の下落が必要になるので、思惑通り下落したとしても、現物の空売りよりも利益の額が小さくなります。

3.プットデビットスプレッドなら暴落時にでも戦える理由

高いオプション料のオプションを買うと、利益になりにくいです。

それは上昇相場のコール買い戦略で利益が出ない3つの原因でも解説しています。

特にプットオプションは相場下落時に保険として買われることが多く、暴落直後のほうがプレミアムが割高です。

先ほどの事例で、2月5日は200円のオプション料でしたが、2月6日には400円のオプション料がかかります。

この後に1000円の暴落が来た際に、単純計算すると2月5日のオプションからは1000円の受け取りがありオプション料を200円支払っているので、利益は800円となりますが、2月6日のオプションからは1000円の受け取りがあってもオプション料を400円払っているため、利益は600円にしかなりません。

もちろん、オプション料が高いときには、市場参加者が相場変動の可能性が高いとも解釈できるので、後者の2月6日の状況のほうが思惑通り思惑通り2番底がやってくる可能性もあります。

ただ、この2月6日には‐1,150円の大幅な下落が起きた後なので、さらに下落が起きるとしても‐2,000円のような現実的ではない下落ではないと、支払ったオプションプレミアムを回収できなくなるため、下落前よりももっと強い相場観が必要となります。

現物の空売りのようなリスクをとらない反面、空売りよりももっと強い相場観(下落幅を当てる相場観)が必要とされるのがプットオプションの買い戦略です。

だからプットオプションの仕込み時は、オプション料が高くなっていないとき、つまり相場が安定していて下落リスクが高まっていない相場です。

4.高いオプション料を買っても高いオプション料を売る

では、暴落してしまった後、プットのオプション料が高い時には何も手を打てないのでしょうか?

実はオプション料が高い時にでも、相場の方向性を利益に変える戦略があります。

それがデビットスプレッドです。

プットオプションを買う戦略では、オプション料が高くなったプットオプションを買わなければいけません。

しかしデビットスプレッドにすることで、オプション料が高いプットを買ったのと同時に、同じくオプション料が高くなっているプットを売る戦略です。

このように高いオプション料のプットを買わされたので、高いオプション料のプットを売ってオプション料の高騰の影響を軽減する作戦がデビットスプレッドです。

デビットスプレッドでトレンドに乗り遅れても39万円稼いだ事例のように、デビットスプレッドは相場の方向性を利益に変える戦略として有名です。

しかし、今回の事例のようなオプション料が高い時に、高くなったオプション料の影響を減らすためにも活用することができます。

プットデビットスプレッドで相場下落の方向性を利益に変える場合は、株式投資と同じように下落幅を予測することで、株のカラ売りと同じくらいの利益を得ることも可能です。

なぜなら、プット買いの難点であるオプション料の高騰を抑えられるからです。

5.まとめ

プットデビット戦略は暴落後に下落方向を利益に変える戦略として有効です。

理由はオプション料が高くなったプットオプションを買っても、さらに同じくオプション料が高くなったプットオプションを売るからです。

こうしてオプション料の高騰を抑えつつ、下落の方向性を利益に変える戦略が作れますので、暴落後のオプション料が高くなったプットを買う戦略よりも、費用を抑えて同じような効果を期待する戦略を組むことができます。

費用を抑えられるというこてゃ、最大損失額が減らせるということです。最大損失額を減らして、得られるリターンが同じであれば、損失を減らしたほうがいいですよね。

だからプットオプションを買う戦略をやろうと思ったら、一歩立ち止まってプットデビットスプレッドのほうがいいのではないかと戦略を練り直すと良いでしょう。

下落相場に対して

  1. 株のカラ売り
  2. プットオプションの買い戦略
  3. プットデビットスプレッド

この3つの引き出しを持っていれば、下落相場に面した際にも慌てずに大きな利益を狙うことができるようになります。

事例はダブルボトムの2番底を狙い9日で111万円を得たプット買い戦略を参考にしてください。

 

 

 

 

※当ブログは筆者の個人的な見解を示すものにすぎません。掲載しているデータの収集とその分析についても、筆者の個人的な視点に基づく分析であり、その有効性を保証するものではありません。解説においては、筆者の独自の視点で学習目的のために事例を簡略化している場合があるため、資料の中で紹介される事例は実際の相場とは異なる場合があります。取引事例についても、完全に再現しているものではなく、かつ、その有効性を担保するものではありません。また、本資料に含まれる記述や情報については十分精査しておりますが、その内容に関して筆者は一切責任を負いません。

※当ブログは過去の市場分析と戦略案を検討するものでありますが、取り上げている投資戦略についてはシミュレーション上のものであり、確実にそのような結果が出ることを示すものではありません。また、相場状況によっては損失が出ていた可能性も十分にあり得ます。当該シミュレーション結果が解説の中で説明した戦略の優位性や利益を保証するものではありません。よって、その内容を将来に当てはめて利益が出ることを保証するものではありません。投資手法の有効性などにつきましては、読者の皆様において十分に内容をご精査いただき、商品の特性、取引の仕組み、リスクの存在、手数料等を十分にご理解いただいたうえで、ご自身の投資判断と責任でお取引いただくようお願いします。

※株式取引(米国株式)、オプション取引(米国株オプション取引)においては、株式相場、為替相場の変動等によって損失が生じるおそれがあります。お取引に際しては、あらかじめお取引先の金融商品取引業者等より交付される契約締結前交付書面等を十分にお読みいただき、商品の性質、取引の仕組み、リスクの存在、手数料等を十分に御理解いただいたうえで、御自身の判断と責任でお取引いただきますようお願い申し上げます。
 

関連記事

   オプション取引に関する無料メルマガを購読できます    登録はこちら
TOP
TOP