
あなたはとにかく安全性の高い金融商品を選びたいと思った時、どの商品が思い浮かぶでしょうか?
預貯金は元本割れがないから、安全性が高いと思いますか?
実は預貯金よりも安全性が高いのが国債になります。
そして、投資の収益性を図る一種のベンチマークとして、国債を基準に考えられることが多いのです。
この記事では国債の安全性やベンチマークの効果について解説します。
日本人の金融商品選び
金融商品を選ぶ条件としては、まず安全性を挙げる方が日本には多いです。
それは最近そのように変化したのではなく、昔から変わりません。そしてこれからも変わらない方が多いでしょう。
しかしながら、安全性について深く考えているという方は少ないかもしれません。
ここで述べる安全性とは、元本保証という枠組みを超えた、償還されるか(デフォルトリスクがないか)という視点です。
これまでにない新たな視点を取り入れると、日本の預貯金偏重主義も変わってくるようになります。
預貯金
まずは預貯金についてですが、これは皆さんも御存知の通り元本保証(※1000万円まで)、利息が付く安定商品と言えます。
現在の利率
しかしながら日本の金融政策によりゼロ金利政策を行うと、利率が0.01%という微々たる数字となってほぼ利息がつかない事態に陥っています。これではリスクがないといえどもリターンもありません。
それ以外に預貯金にはリスクがないのでしょうか。
インフレターゲット
政府はインフレターゲットを導入しています。
インフレターゲットを2%とした時に、預貯金として銀行に預けておくと、利息が0.01%増えるもののお金の価値は2%分低下するので、差し引き-1.99%の損失となります。
つまりインフレターゲットを上回るような資産運用をしなければ、資産は目減りするのです。
だから政府は「貯蓄から投資へ」というスローガンを掲げて、半ば強制的に投資へ目を向けさせ、サラリーマンへも確定拠出年金という形で厚生年金の一部を投資による資産運用へと向けさせています。
(※確定拠出年金は政府主導というわけではありません。あくまで民間の厚生年金基金等の運用方針によるものです)
銀行の破綻
最も避けなければいけないリスクが、銀行の破綻です。
銀行が破綻すれば預金を返金できないこととなります。そのために1,000万円までは保証するペイオフ制度が設けられています。
そこで考えてみてください。
例えば昔なら興銀、最近ならりそな銀行など、銀行が破綻した際に救済したのは誰だったでしょうか。
それは日本政府です。
銀行の破綻を起こすと国民生活に混乱が生じ金融市場にもインパクトが出るために、公的機関(日銀及び政府など)が主導となり救済をしています。
ということは、国は銀行を救えるのです。
一方国が破綻したら、銀行は国を救えるでしょうか?
我々が生活している中で国が破綻することを経験はしていませんが、グローバルな視点で捉えるとロシアのルーブル危機や韓国でもデノミが行われるなど、国家を挙げての有事が起きています。
その際に一民間銀行だけが生き残り、国が破綻するということはあるでしょうか。
外資系で出資が国外企業であれば可能性はありますが、純日本企業であれば国の信用がなくなった場合には民間企業も共倒れとなる危険性は大いにあります。
つまり国は銀行を救えるけど、銀行は国を救えないのです。
このことから、国に預貯金をしたほうが、よっぽど銀行よりも安全性が高いのではないだろうかということが言えます。
国債
そこで登場するのが国債です。
国債の利回りは、今でこそゼロ金利政策により既発債の国債価格が高まっているので新規で購入するとマイナス金利となる可能性がありますが、30年国債の場合は0.36%の金利がつきます。
預貯金の0.01%に比べると、実に36倍にもなります。
満期では額面で償還
さらに、信用の面では国が発行する債券ですので、国が潰れないかぎり満期で額面の償還があります。
このように、日本では金融資産のうち預貯金の占める割合が圧倒的に多いにも関わらず、国債のほうが預貯金以上の安全性と収益性があることが分かります。
示してきました。国際は国が発行する債券ですから、金融商品の中でも、安全性では最高ランクです。利回りの店でも同じ期間の預貯金とでは臭いが相対的に有利のようです。
もっとも国債は一時的に元本割れすることもある商品ですので、預貯金に比べると元本保証されていない分リスクが高いと考えられるかもしれません。
しかしながら満期までの期間は価格変動がありますが、満期では債券の額面の金額を受け取れることが決まっています。
その間に設定された金利も受け取れることが決まっています。
破綻リスクが少ない
そして民間銀行にある破綻リスクが、国は極めて低いと言えます。絶対に起きないと保証するわけではありませんが、少なくとも民間銀行のようなデフォルトリスクは相対的に低いといえます。
国債はリスクフリーなベンチマーク
このように国の発行である国債は、非常に安全性が高いと考えられています。
よって市況の商品の利回りのベンチマークとして用いられます。
もし扱う金融商品がリスクが低い国債よりもリターン面で劣る場合は、扱う合理性がありません。
国債は英語でリスクフリーと呼ばれ、文字通りリスクがない資産だと考えられていますので、ベンチマークの基準となるべき対象なのです。
国債金利が上昇した場合
ではそのような国債の金利が変動すると、他の金融商品はどうなるでしょうか。
国債はベンチマークとして用いられていますので、ほとんどの金融商品に影響与えています。
国債の利回りが上昇すると様々な金融商品の金利が上昇します。
国債の利回りが下落すると様々な金融商品の金利が下落します。
例えば
- 投資信託の分配金
- 生命保険の予定利率
- 貸付信託予想分配率
- 外国債券の利回り
- 固定型住宅ローン
- 株式
- 生命保険の利率
他にもたくさんの金融商品に影響があると言われているのが国債となります。
国債はなぜ発行されるのか
国は、借金となる国債を発行するには、返せる目処がなければいけません。
その返す目途は、将来の税収となります。
しかしながら現状は税収以上の国債を発行し、赤字をふくらませていると言われています。
普通は返せる見込みがない債券を購入する人はいません。
しかしながら、日本の場合は政府が債券を発行して、日本銀行が購入します。
別会計(のように見える)をいいことに、発行元のデューデリジェンス(身体検査)を行わずに購入しています。
この面を切り取ると安心できないと思うかもしれませんが、実際は日本国が保証する債券なので、債券保有者にはお金を返す義務があります。
その間に発生する利子を分配する必要があります。
よって私たちは、国債を購入する際には発行元の信用があるか、利回りは納得できるくらいの利回りか、この先政府が本当に赤字の日本を変えるつもりがあるのか。
こういったことを知ったうえで、国債に投資をするのか、それともしないのかを決めていくことになります。
まとめ
国債は国の信用によって成り立っている。
国の信用である国債と、民間企業が保証すると言われている預貯金であれば、国債のほうが実質安全性が高いといえる。