種類が豊富なオプション取引戦略を選定していく5つの視点とは

投稿者名:金森 雅人

オプションはいろいろな戦略があり、特に初心者の方はどの戦略を使えばいいのか、どの戦略に優位性があるのか悩む方が多いです。

どれか一つに絞って習熟したほうが良いのは分かっていても、どれを選定していいかが決められない方もいるのではないでしょうか。

ここではオプション投資家養成塾の中で質問があった内容から、どうやって戦略を選定していくかの視点を解説します。

その視点とは、

①損失限定
②損失が出た場合に次も入る気になる損失額(リスク許容度によるがおおむねリスクにさらす資産の2~5%以内)
③流動性があること(約定させやすい)
④ポジションの数が多すぎないこと
⑤瞬発力を必要とするものではないこと(例えば、瞬間的な価格の歪みを利益に変える等は困難です)

の5つです。

この視点さえ学べば、オプション戦略をどれにしたらいいか、扱い方が分かってくるのではないかと思います。

優位性があるように見えるカレンダースプレッドとリバースカレンダースプレッド

オプション投資家養成塾の受講生さんから、カレンダースプレッドとリバースカレンダースプレッド(カテゴリとしてはタイムスプレッドと呼ばれます)だけを仕掛けていくのはどうかと質問をいただきました。

優位性がある戦略を探しているようですが、手法によって優位性があるわけではないので、戦略上優位かはなんともいえません。

もちろんオプションの本質はインプライドボラティリティの評価にあるので、このインプライドボラティリティをトレードするカレンダー系ポジションを理解することは学習の進め方としては非常に良いと思います。

ただ、実際に手掛けるとなると、カレンダー系は期先の流動性が思ったように多くないと、なかなか難しいです。

ロングストラドルの代わりにややアウトのリバースカレンダースプレッド

チャート分析をして前回の高値に近づき、ブレイクするか反落するかというときは、ロングストラドルが合理的かと思いますが、そう上げずに落ちる可能性が強いと思う時に仕掛けるスプレッドはややアウトのコールのリバースカレンダーではどうでしょうか。

天井付近に近づき、IVも相当程度低くなっている場面では、確かにロングストラドルは適切な戦略ともいえます。

しかし、優位性があるかどうかはわかりません。

逆張り的な発想なだけです。

大きく下落すれば大きな利益になりますが、動きが悪いとなかなか利益にはなりません。

それほど上昇しないだろうがうろうろもするかもしれない、というときは損失限定のポジションであればコールクレジットスプレッドの方が安心感・組成のし易さはあると思います。

それにコールはATMからやや外側、アウトオブザマネー側の方がIVが低いのでスマイルカーブ的にちょっとだけ有利なポジションができあがります。

やや外の方というのは、明確な基準があるわけではなく、例えば、上昇を期待し、上昇の過程でIVの下落も利益に変えようという場合にプットでリバカレを組むというのは比較的理にかなった手法だと考えますが、この場合、予想に反し相場が逆に行くことも想定し、基本はATMで組成します。

ただ、原資産の価格がぴったり権利行使価格ということはないので、一番近いアウトの権利行使価格を選ぶことをやや外の方と表現しました。

なおリバースカレンダーも適さないわけではありません。

ただ、動かない場合はタイムディケイでやられますし、中期的な下落可能性が高まると、期先の価格がなかなか下落せず(期先IVの上昇)、ダブルパンチを食らう可能性があります。

初心者が手掛けやすいポイント

初心者が手掛けやすいと思われる手法はどれでしょうか。

手掛けやすいことの条件として

①損失限定
②損失が出た場合に次も入る気になる損失額(リスク許容度によるがおおむねリスクにさらす資産の2~5%以内)
③流動性があること(約定させやすい)
④ポジションの数が多すぎないこと
⑤瞬発力を必要とするものではないこと(例えば、瞬間的な価格の歪みを利益に変える等は困難です)

これらの条件から、

・上昇相場の終わり天井示唆プットオプション単体買い

・日経VI先物買い(16以下で手掛ける)

・下落トレンドプットデビットスプレッドやコールクレジットスプレッド(含Weeklyオプション)

上記のような戦略は、権利行使価格の選択により損失額をある程度コントロールできますし、扱う銘柄数が少なく、比較的流動性のあるものを利用すれば可能な戦略という意味で手掛けやすいと思われます。

日経VI先物については、流動性が心配ですがマーケットメーカーもついていますので平時であれば手掛けることは可能でしょう。

カレンダー系も基本2銘柄ですので、ダイアゴナルスプレッド(異限月異権利行使価格のポジション)で期先をアウトの銘柄にする等により手掛けやすくなる可能性はありますね。

権利行使価格をずらすので方向性のリスクを多少とることになりますが、手掛けやすくはなると思います。

なお、手掛けやすいことが利益になるかどうかは関係がありません。

ポジションが単純であるがゆえに、とったリスクに対し読みが当たれば勝ち、外れれば負けということになりやすいです。

日経VI16~17以下のときmini1枚買い+日経VI先物数枚買い

面白いものとして、

日経VI16~17以下のときmini1枚買い+日経VI先物数枚買い

というものもあります。

日経VI先物の特徴を活かした戦略です。日経VI先物のある程度の特徴を知る必要がありますが、勉強しがいのある戦略だと思います。

デルタ0.1のコールを売るトレードについて

遠くのコール、たとえばデルタ0.1のコールを売るトレードはどうでしょうか。 SQが近くなると危険ですが、14日前までならどうでしょうか。

感覚的に下落に比べて上昇は怖くない、暴落よりは逃げる余裕がある、ということで比較的人気のあるコール売りですが、こちらも良いか悪いかということは絶対的基準があるわけではありませんので決めつけることはできませんが、近くだどリスクも高いがリターンも高く、遠ければリスクは低いもののリターンも低いという意味ではトレードオフです。

しかし扱い安いかどうかという視点からは遠いところを売るのは、動きが遅く呼び値も1円なので約定させやすいという意味でもやりやすいですね。

しかし、コールサイドはやはりカバードコールの需要もあり売りが過多でボラティリティ的に優位性があるトレードはできないです。

あくまで扱い安いということです。

たしかに勝率も高いですが、損切りをルールに従ってきっちりやらないとたまにあるドカンでやられている方が結構いらっしゃるように思います。

安易な裸のコール売りは危険です。

なお、オプションの逆指値は効かないこともありますので注意してください。

まとめ

どうやって戦略を選定していくかの視点を解説しました。

視点の5つとは、

①損失限定
②損失が出た場合に次も入る気になる損失額(リスク許容度によるがおおむねリスクにさらす資産の2~5%以内)
③流動性があること(約定させやすい)
④ポジションの数が多すぎないこと
⑤瞬発力を必要とするものではないこと(例えば、瞬間的な価格の歪みを利益に変える等は困難です)

 

なお、文中で登場したリバースカレンダースプレッドは損失無限大ポジションですので注意しましょう。

 

 

 

 

※当ブログは筆者の個人的な見解を示すものにすぎません。掲載しているデータの収集とその分析についても、筆者の個人的な視点に基づく分析であり、その有効性を保証するものではありません。解説においては、筆者の独自の視点で学習目的のために事例を簡略化している場合があるため、資料の中で紹介される事例は実際の相場とは異なる場合があります。取引事例についても、完全に再現しているものではなく、かつ、その有効性を担保するものではありません。また、本資料に含まれる記述や情報については十分精査しておりますが、その内容に関して筆者は一切責任を負いません。

※当ブログは過去の市場分析と戦略案を検討するものでありますが、取り上げている投資戦略についてはシミュレーション上のものであり、確実にそのような結果が出ることを示すものではありません。また、相場状況によっては損失が出ていた可能性も十分にあり得ます。当該シミュレーション結果が解説の中で説明した戦略の優位性や利益を保証するものではありません。よって、その内容を将来に当てはめて利益が出ることを保証するものではありません。投資手法の有効性などにつきましては、読者の皆様において十分に内容をご精査いただき、商品の特性、取引の仕組み、リスクの存在、手数料等を十分にご理解いただいたうえで、ご自身の投資判断と責任でお取引いただくようお願いします。

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